取材2019年2月+2013年
日本セメント(株)東松山専用鉄道て何
埼玉県東松山市にあるセメント輸送用の旧貨物線です。
東武東上線の高坂駅から分岐していました。
埼玉県は今でも秩父の武甲山で切開の採掘がおこなわれていますが、石灰質の山が多いです。
長さは5.5km
廃線跡にしては散歩がてら行けそうな丁度良い長さです(そんな基準で作ったわけではない。)
・歴史
1955年、日本セメント(現・太平洋セメント)によって「日本セメント(株)東松山専用鉄道」として開通した。
????年、日本セメントから秩父鉱山(株)に移管
1984年7月31日に廃止
だそうです!
まなびのみち-遊歩道として整備
高坂の廃線は隠れた名廃線として、目立たずさり気なく残っていました。
個人的には埼玉県内で南大塚の安比奈線と並んで二本の指に入るラクに探検できる廃線でした。
しかし。
「東松山市は太平洋セメントから寄付された廃線敷について、観光拠点を結ぶ遊歩道として今年度から2カ年事業で整備する。市の総合戦略で南部観光ルートに位置づける「まなびのみち」の一部となる。9月議会に提出した一般会計補正予算案に今年度の第1期区間として約1・1キロ分の事業費5100万円を計上した。」
太平洋セメントの廃線敷、緑の遊歩道&鉄道遺産に 埼玉 – 産経ニュース -2016.9.15
ナ・ナンダッテー
「まなびのみち」と命名し市の主導で遊歩道にすることが2016年に決定しました。
漢字が読めなくなった未来人のために全部ひらがなにするところも先進的な命名センス。(no offence)
ジ・エンド。
廃線系は整備されたら面白味が雲散霧消してしまうのは自明の理。整備されること自体は良い事なんでしょうがマニア的にはアウト。
そしてめでたく、
2018年4月まなびのみちが完成しました。
http://www.city.higashimatsuyama.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/8/8_9.pdf
「まなびのみちは、高坂駅西口を起点とし、周辺に点在する地域資源をウォーキングで結ぶ全長約13kmの観光ルートです。」
13kmと連峰の縦走ルートや大陸ならともかく関東平野の片田舎の退屈な風景にしては試練じみた距離です。やるな東松山。
日本セメント(株)東松山専用軌道てどこ
起点はこのへん。
高坂駅から西方向へ伸びています。
googlemapで見ると鉄道カーブ(もう固有名詞で良いよね)を見る事が出来ます。
本線から左に分岐してるやつです。
「まなびのみち」として整備され歩道扱いになったから地図に掲載したということでしょうね。
行ってみた (2019&2011)
2019年2月、気晴らしに散歩することにしました。
2011年に一度訪問しているので、その写真を混ぜながら書いていきます。
2011年のときは私はガキンチョでした。
高坂駅。
田舎の私鉄の別に特徴もない駅です。
高坂ニュータウンなる住宅街や、大学、あと東上線沿線民にだけ知名度が高い動物園なんかがあります。
北へ向かいます。
あれね。
ここが東上線の分岐点あたりです。まなびのみちの「廃線敷」入り口です。
整備したルート上には看板や案内がいくつか立っています。
ここの入り口となる場所にも以下の看板があります。
こういうのはありがたいです。
草ぼうぼうの藪の方が探索しごたえはありますが、まあこれはこれで楽だし木のトンネルになっていて楽しいかも。
木漏れ日の中を変な虫や棘のある植物の心配をせずに歩けます。
2019年。
途中に踏切跡があります。整備後もこれは残したようです。
2011年夏
雑草が半端ないです。
……….
次は関越をオーバークロスする場所です。
場所はここのあたり。
2011年。
ひと昔前関越高速を走っている時に気付いていた人もいらっしゃるのではないでしょうか。
電車が走ってないはずの場所にある謎の鉄橋。それがこいつでした。
2011年の時点で廃止から27年経過していました。
割にしっかり残っていましたね。
これは、
2013年6月に撤去されたとのこと。
どうやって高速の上にあるこんなでかいもんを撤去したんだよ。
と思ったのですが、坂戸西スマートIC設置工事のついでに撤去したようです。
「関越自動車道 鶴ヶ島JCT~東松山IC間夜間通行止め(2夜間)のお知らせ 6月3日(月)・4日(火) 21時から翌朝6時まで ~ 坂戸西スマートIC新設及び付加車線事業等に伴い通行止めを行います ~」
なるほどね。
2019年。土台部分だけは残っています。東側の土台です。
ユンボが2台写真にありますが、この路線の撤去作業のものではなくて建設会社の駐車場になってるだけです。
西側の土台。
…….
鉄橋は撤去され、廃線はアスファルトで固められて、あんま面白くないなとテンション下がり気味です。
事前に知っていたとはいえやっぱりね。
しかし
関越を越えた瞬間、風景が一変します。
なんだここは。
本当に廃線跡なのか?方角的にはあってるので違いないのですが、
獣道の少し太いってくらいのレベル。タヌキが歩いてきて「ここは獣道のメインストリートじゃよ」って話しかけてきたらふ~んと納得してしまいそう。
獣道じゃなかった。
どう見ても自然物でない石。
自然の浸食風化作用で形成されなさそうな、鋭利な角と面を持つ石が、落ち葉の隙間から顔を覗いています。
バラストだ。
この写真からは中々想像もつかないですが、ここをセメントを積載した列車が行き来していたのです。
日の降り注ぐ2月のぽかぽかした日中の中にあって、竹に遮られた薄暗い空間。
廃線跡というよりも
ネコバスが通過した後みたいになってます。
……….
「東松山市坂東山」という地区に入る直前でジブリ区間は終了。
線路跡自体も途切れています。
「坂東山」地区は、新しく山を切って造成した地区です。
しまむらやヤオコーの配送センターがあります。写真の道路が左に折れている方向です。
この配送センター群とそのための土地は2015前後に完成したもののようです。
https://www.saitamakeikyo.or.jp/?action=common_download_main&upload_id=1247
2015年より以前は廃線跡は写真の先も残っていました。
………….
次に見つけることが出来る遺構はこの辺り。
高坂マスターズゴルフ練習場から150m南です。
道路の下を鉄道がくぐっていたところ。
架線を引っ張る奴が残っています。
この専用軌道は電化していました。
2011年
踏切の黄色いやつが残っています。。
…………..
この場所なんですが、
遊歩道の起点にあった看板の写真を参照すると左の法面が同じです。ここっぽい。
………….
1か所だけ鉄橋が残っています。
遊歩道に転用されています。上を歩くこともできます。
コンクリで固められてしまったので、あまり歩きごたえはありませんね。
……………
「まなびのみち」として遊歩道に転用された太平洋セメントの東松山専用線。
ほとんどが普通の道路となってしまったので、廃線巡り的には★2つくらいです。
廃線感、廃墟感を味わうことができるジブリ区間(勝手に名付けた)は★4といっても良いでしょう。いや、★4.5で。
全長5kmほどで写真を撮りまくりながらでも2時間あれば歩けます。休日に散歩がてらには適しているかなという感じです。
了