世界的に廃止傾向があるナローゲージだがロシアではまだ現役で走っている。
軌間はRZDの1510mmの約半分、750mmで、ロシアには37路線あるという。(wikiでの数のため休止しているところもあるかもしれない)
ロシアナローはロシア国鉄とは全く別の魅力的を持つ鉄道だ。RZDのように近代化はされていないし、警察や警備員は居ないのどかな場所。ガタガタのレール。50年タイムスリップしたような鉄道が、本当に走っている。
ロシア鉄道の真の沼はナローゲージにあるといっても過言ではない。
沢山のロシアナローたちの中で今回は「ペシェラン石膏工場専用線」に行ってきた。
ペシェラン狭軌鉄道の場所
ロシア語は変化するのでロシア語になじみが無いと分かりにくいかもしれないが、正式には、Узкоколейная железная дорога Пешеланского гипсового завода (狭軌鉄道 ペシェランの石膏工場)だ。カタカナ転写はしくじりの可能性があるので各自お願いします。
場所はニジェゴロドスカヤ州 (Нижегородская область)にある。
最寄りの大きめの街はアルザマスで、モスクワから300kmと近い。アルザマスから約13km南東に今回のペシェラン狭軌鉄道がある。
旅客鉄道ではなく、Пешеланский гипсовый завод デコール1という石膏メーカーの工場の専用線だ。
ペシェラン狭軌鉄道の情報
Узкоколейная железная дорога Пешеланского гипсового завода
詳しくは上のURLにて。
開業: 1946年
距離: 鉱山~工場 4km 、地下区間 3km
wikiによると、毎日11往復程度走っているとのこと(ココ重要)。
機関車はTU8とTU6Aが在籍しているようだ。僕が行ったときはTU6Aが来た。
地下区間というのも気になる。ロシア現地鉄がツアーで参加した際の写真がツイッターにある。今回は僕は行っていない。
Gypsum mine at begin of this line, phtotos from rail tour 2012 pic.twitter.com/S37exhggnb
— trolleway.com (@trolleway) January 14, 2022
線形について
鉱山側の終点だけ三角の折り返しになっている。そのため鉱山側で折り返し時機関車の向きが逆になる。
ボンネット側と食パン側が交互に走ってくる。
撮影
11時にバスで現地到着。そこから20分ほど歩いて線路際へ。
ロシア限界ナロー!!??!?!!!!!
着いて5分で来るのはやめろ!!!!!!!!! pic.twitter.com/pHPNOWWPAT— 石器時代 (@NsaYamamoto) January 13, 2022
僕はwikiをロクに読まずに行ったので、走っているか分からない限界ナローだと勘違いしていた。事前情報が無い方がこのように異様なテンションになることがある。
エンジンを吹かすと黒い煙がぽっと出るのが良い。
立ち位置を調整し、折り返しを待つとすぐやってきた。
鉱山→工場
後追い写真のように見えるが、運転士が前を向いていないだけでこちらが前だ。
この撮影よりさらに早朝にも運行あったと思われるが、氷点下10度での活動限界を考えると朝11時に入って正解だったと思う。
後追い。
石膏を満載したおもちゃみたいな貨車が連なる。
鉱山→工場
一面の雪。運がいい事にこの日は晴れた(激運)
鉱山→工場
食パン側もこれはこれで味わいがある。
鉱山→工場
バリ順を狙って撮影。
動画でガタガタ具合を見て欲しい やばい。
鉱山にて
満足いく写真が出来たので、夕方鉱山の入り口を覗いてみた。
最後に鉱山の出入口で撮影。ここで空を切り離し、すぐ隣の線にある満載の貨車に付け替えたら即発車だ。
鉱山での折り返し時間は5分程度で慌ただしい。機関車も運転士も忙しく働いている。
夕日に照らされて。
11時20分から16時20分の間に5往復を撮影することが出来た。ムラはあるが平均では1時間に1往復程度はしているので、かなり簡単に撮影できる。
鉱山側は特に折り返し時間が少なく油断するとすぐ来てしまう。
撮影地
民家が多い南側(工場側)は避け、平原の鉱山側で撮影した。とても短いので、撮影地探しは簡単。
A B C D Eは撮影した時刻順に並んでいる。
博物館
Музей горного дела, геологии и спелеологии
ロシアでも特異な地質らしく、石膏会社は博物館(ガイドツアー)を行っている。予約制。
1000ルーブルとかなりお値段が高いので私は行かなかった。が、ツアーでは鉱山の内部の線路を見ることができたかも知れない?
気がかりなのは現地のKACCAにQRコードがどうのと張り紙があったので、仮に僕が行こうとしても入れなかった可能性はある。
行き方
まずアルザマスへ向かう。私はニジニノヴゴルドから普通列車で行った。ニジニノヴゴルド~アルザマスの普通列車は1日3往復。
モスクワから直接行くこともできる。モスクワ~ニジニノヴゴルドは夜行列車で約6時間。
Arzamasには国鉄駅が2つある。モスクワから来る列車が発着するArzamas-1、ニジニノヴゴルドからの列車が発着するArzamas-2だ。
アルザマス~ベビャエヴォ 124系統
アルザマスのバスターミナル(アフトスタンツィア)
Arzamas-1駅、Arzamas-2駅どちらからも路線バスでバスターミナルまで行けるが、アルザマスの市内バスは本数がいまいち少ないので注意。yandex Mapをインストールすればバスの経路・現在地が出るのでおすすめ。
バスターミナルからペシェラン最寄りの人間が住んでいる集落、ベビャエヴォ(Бебяево)へ向かう。
124系統 運賃は51ルーブル。運賃はバス車内で支払う。
Арзамас-Бебяево
帰りのダイヤも表示↓
2022.1月現在、アルザマス発5:20, 6:30, 8:00, 10:30, …
8時か10時半が便利だろう。変更するかもしれないので上記のURLを参考してください。
ベビャエヴォでの食料調達
朝食を抜いて来たり、行動食をホテルに置き忘れても大丈夫だ。ベビャエヴォバス停のすぐ横には売店がある。
このベヴャエヴォ集落の問題点は、カフェ、バーやレストランが無い事。
特に冬場で暖をとる場所が無いので、温まるなら売店の中で商品を探すふりをするか2kmも離れたドライブイン兼レストランに歩いて行くしかない。
おわりに
日本では既に消滅した林鉄や軽便みたいなのが保存鉄道ではなく、本当に走っているのがロシアだ。750mmのガタガタの軌道を小さな貨車を引いていく姿はとても2022年とは思えない。
-10度というのを完全に忘れ5時間も撮影し続けることが出来るくらいには魅力的だ。
ロシアナローゲージと聞くと限界度が高そうで一歩引いてしまいがちだが、こんなにも行きやすく本数が多いところもある。
ロシアナローが全然限界でなく、誰でも行ける超簡単ということが分かっていただけただろう。もう行くしかないですよね!如何でしたでしょうか!
ロシアナローは2回目で、2019年にアプシェロンスク狭軌鉄道 に訪問している。ロシアナロー中毒の最大原因なので末永く走って欲しい所だ。
これは旅客ナローなので乗り鉄にもおすすめだ。旅客は1日2往復+たまに謎の臨時列車、運が良ければ木材貨物が走るようだ。筆者は木材貨物は見ていない。
上記アプシェロンスクの記事も宜しければ読んでください。
参考URL