訪問 2023年1月16日
シュガートレイン
世界的にナローは廃止傾向にある。僕はロシアのナローしか知らないので、世界の事はあんま知らないがインドのナローはCovidの間に消えた噂を聞いた。
ナローと言えば特殊な用途で使われる物がある。今回紹介するのはサトウキビを運ぶための製糖ナロー、シュガートレインだ。
日本から近場では台湾は現役で、オレンジ色で素晴らしい。台湾は流石先進国なだけあって機関車がぴかぴかだ。
年明け早々、虎尾糖廠のサトウキビ列車を狙いに雲林へ。今が収穫の最盛期だけあって、朝8時から18時まで日中6往復の盛況ぶり。 pic.twitter.com/NOUarnpDo8
— 埜 (@Rokkor_XD) January 10, 2023
インドネシアでも昔あったが、現地鉄によると今は無いらしい。
We used to have loads of them in Indonesia until they were put out of service. Some because the mill thought operating cane trains were redundant, some because the local council don't want cane trains in their regions, and some because of both.
— Indonesian Railways of The Present and Yesteryears (@Indo_Railways) January 12, 2023
僕としてはシュガートレインというのは赤道付近を走る別次元の話というか、現実味がわかなかった。(ロシアのナローなら知っているのだが)
エジプトの製糖ナローは、情報が日本語では論外、英語でもほぼ無く、あるんだかないんだか不明だったのだが、調べているうちに虚構ではないらしい。
Trainspoサーフィン
そもそも僕はエジプトのシュガートレインの存在自体、2023年1月まで知らなかった。
発端はTrainspoサーフィンをしていた時だ。元はヘビーレールの良さげな撮影地がないか見ていただけだった。
えっ?
シュガートレインの昔の記事(英語)
Luxor News – Jane Akshar: Narrow Gauge Railway in Luxor – The Sugar Cane Train
2007年のブログ。
こちらはSugar Train Luxor でググって出て来たもの。
2007年当時の貴重なブログとなる。
File:Luxor Narrow Gauge Train R01.jpg – Wikimedia Commons
Sugar Train Luxor で画像検索で出て来たもの。
Sugar cane railway, Qinā, Egypt
特に役には立たないが、同じくSugar Train Luxor でググると出る場所。
英語でググっても近年の有用な情報が出てこない。
Flicker
英語でググったものとして2004年に撮影されFlickerがある。
41.Egypt Sugar Cane Railway | Locos 18 closer and 24 further… | Flickr
2台の機関車が並び大迫力である。
アラビア語でググレカス
قطار السكر بالاقصر
( Luxor Sugar Train )
これで翻訳にかけた文字列をググると急に色々出てくるようになる。
بالصور: قطارات «الديكوفيل» بالأقصر.. «حتى لا تتكرر المأساة»
2013年の記事で、内容は「シュガートレインは住宅地を通り子供の事故などが多く心配する人が居る」とのような内容。
エジプト人も一応安全性気にする人も居るのか。
そしてこれは2022年1月12日、アルマント工場 (Armant ) の紹介のような記事。
2022年って去年じゃん。ほぼ動いているのは確定したようなものだ。
僕がツイッターで騒いだ所、フォロワー氏から7か所の製糖ナローがあるとの情報をいただいた。(Sugar Factory で地図でググると出てくる)
Kom Unbu
どうして行かない事ができようか。
僕はアスワンへ行き、それからエジプト製糖ナローのうち最も南側(ナイル川上流寄り)のコモンボに行ってみた。
アスワンから日帰りで簡単に行ける。英語表示を読むと コム ウンブに見えるが現地人は全員コモンボと発音した。
なお、「コモンボの製糖工場」は
مصنع سكر كوم امبو
でググれる。
工場周り探索
外国人はまず来ないような場所なので大変不審者だが、探索しないわけにも行かない。
工場から畑へ延びるナローの出口は航空写真をみると2か所ある。
まず北側のレール出口を探索していると、ナローのレールを確認でき、レールは光っているし、門番は居るので動いているのは間違いない。すぐ来る気配はない。
水路沿いの木陰の小屋にいる人たちからチャイを貰った。
あまり鉄道に執着していると思われると不審に思われそうなので、「農業に関心がある学生だ」とかテキトーな事を言っておいた。
すると、あっちが畑だから行け のように言われた。幸いその方角は出口2(南西側)なので、言われたとおり行ってみた。
「ラピュタは本当にあったんだ」と思える瞬間は今まで何回あったか。これからあと何度あるか。
中々ド派手な見た目だな。
空車が行ったので次は満載のシュガートレインを待つ。
村人に絡まれてかなり大変だったが待つこと3時間、ようやく荷物を積んでやって来た。
絡んできた村人には、写真の学生だとか農業に興味があるとまた同じ事を言っておいた。
ボンネット側が前で最高。「てて」というアラビア語は「22」号機。コモンボの個体はおそらくエジプトのシュガートレインの中で最も状態が良く、塗装は奇麗でエンジンルームのドアがついている。
この機関車は一旦貨車を切り離した後、分岐する別の畑へと去って行った。
空車はトラクターで牽引する場合もある。これはコモンボのみで見たが、他の工場でもあるかもしれない。
先程の「22」の機関車が別の引込線へ行ってしまったので、待っている間このトラクターの運転手の老人が大変親切にしてくれた。
アラビア語は全くわからない僕のためになんでそこまで親切なのだろうか。
良いエジプト人の暖かさはすさまじい。
今度は30分程度待ったら再度やってきた。既にサトウキビを積んであった貨車を繋げて集めてきたと思われる。
サトウキビの農地→貨車への運搬は、ロバか人力であり、過酷な労働だ。
しかし線路がフニャフニャだ。
3mはある背丈のサトウキビの中を走る。
なんだか別次元の世界に迷い込んだようだ。
さっきのトラクターのおじいさんが、この列車が工場へ去った後トラクター牽引で空の貨車を畑にバラまきにいくのに同乗させてくれた。
トラクターの振動は凄まじく僕は転落しないようしがみつくのが精一杯だった。
おわりに
地元民にからまれたり色々と大変なこともあるが、ぜひ訪れて欲しい。
他の国のナロー