アルメニアの鉄道 完全解説 2023 ER2 エレクトリーチカ VL10撮影

近年エレクトリーチカの消滅が急速に進んでいる。

2022年時点ではウズベキスタンラトビアで丸リーチカが走っていたが、筆者訪問後退役した。ラトビアでは角リーチカすらほぼ全て廃車。新型に一気に置き換えられたそうだ。(ひのはちさんの情報)

 

2024年現在、角も含んで1510mmで非メルヘン顔のリーチカが撮れるのは、

  • ロシア
  • ベラルーシ
  • ウクライナ
  • ウズベキスタン
  • アルメニア
  • カザフスタン – 羽黒さんによると角いるそうです

となる。(カザフスタンにメルヘンはいるが、筆者非V認定)(アゼルは1本いるけど少なすぎ)

 

丸リーチカをどうしても撮りたい!という場合、もはやウクライナかアルメニアにしかないのだ!

僕のリアル知人で少なくとも3人はウクライナに行っており、デングルマして帰ってきてるので、別にウクライナは危険です!と僕は言う気になれないが、

かといって「行って、どうぞ」という感じではない。(ちゃんと捕まるらしいので)

 

そこでほぼ最後の丸リーチカを安全に撮れるのはアルメニアだけなのだ!ベズアパーサナスチ!ベズアパーサナスチ!

 

筆者が訪問したのは2023年である。時刻表はブログ執筆2024年8月に再確認し、去年と全然変わってないことは確認した。

細かい点は最新のYKZD(南カフカス鉄道)を読んでください。

VL10牽引の国際列車も含めアルメニア鉄道全てを紹介する。

 

南カフカス鉄道

 

「アルメニア国鉄」は存在しない。2008年にЮжно-Кавказская железная дорога (南カフカス鉄道) という「民間」の会社であり、100%ロシア国鉄が株式を保有する。民間なのでJRみたいなものだが、その株を全部ロシア国鉄が持っているみたいな状況だ。倒産しかけの儲からない鉄道会社(決めつけ)は悲しいものだ。

これ関連だと、モンゴルのウランバートルテミルザムも、ロシア国鉄が半分の株を持っているという事情から「モンゴル鉄道」を名乗らないという事情がある。

Южно-Кавказская железная дорога -wiki

 

旅客列車

 

以下の3つがメインである。公式ページに掲載され、確実に運行している。

 

  • 国際列車 グルジア(ジョージア)行き (夏のみバツミ延長運転)
  • 定期普通列車、2方面/3行先
  • 夏季臨時普通列車 セヴァン湖行

 

未確定情報

 

ギュムリ- Vanadzor がホームページにないものの運行している可能性は有る。誰か確認してクレメンス。

Gyumri – Vanadzor passenger service restarts after 13 years

 

 

路線図

 

ギュムリ方面は、ギュムリ行きのほかに、アラクス行きがある。

国際列車は普段はトビリシ行きだが、夏はバツミ行きとなる。

 

  1. 夏季限定臨時 セヴァン行き
  2. 普電
  3. 国際夜行

の順で紹介する。

 

①セヴァン湖行きリーチカ

 

6531/6530

夏の金土日のみ運行。

2022年まではエレバンの北にあるプラットホームから発着していたが、2023年以降は中央駅からの発車となった。

そのため昔より所要時間が30分ほど伸びた。

 

8/5撮影。アルメニア修道院「セヴァナヴァンク」とセヴァン湖を背に走る、アルメニア鉄道で最も美しい区間だ。

これはRailGallery で入賞した。

アルメニア-カラバフ国境近くに鉱山のようなものがあり、そこから運搬と思われるVL10牽引貨物が2022年まで走っていた。(ラトビア人の作例)

しかしカラバフ紛争でアゼルバイジャンが取り返してしまったため、その貨物は消滅してしまった!筆者訪問の2023年には貨物は全く通らなかった上に、ショルジャより東のレールは錆びていた。

 

セヴァン湖行きリーチカは、カット数が多いのでほかは後半に掲載する。

 

ЭР2К-621 – 1966年

 

②ギュムリ行き夕方便

 

No.681 エレバン-ギュムリは高確率で丸リーチカが担当する。(しかも大体985編成)

8月頃ならエレバンの南のはずれで理想的な光線でゲットできる。

 

 

No.681 ギュムリ行きが富士山みたいなアララト山をバックに走る。

Myasnikian 駅をすぎると、住宅地が終わり開放的な区間に入る。

撮影日の8月中旬では光線がギリギリでヒヤヒヤした。5月中旬〜7月中旬ならもっと明るく撮れると思う。

 

ЭР2К-985 – 1973年製

 

No.681 ギュムリ→エレバン。ギュムリにて一晩停泊し、昼10時頃戻ってくる。

 

ここは2020年2月に行ったのと同じMasis (Sis) の撮影地だ。 夏光線よりも冬のほうが綺麗に撮れるとは思うが、これはこれで。

エレバン近郊 ЭР2撮影

エレバン近郊 ЭР2撮影

 

 

②-2アラクス行き区間列車

 

No.7010 エレバン→アラクス は3両編成の丸リーチカが確実に充当される。

4両編成よりは迫力が少ないとはいえ、可愛い感じ。

 

ER2 983 – 1973年製

 

No.7011 早朝のアラクスAraks駅にて出発を待つ。

このときはレンタカーを利用した。

 

No.7011 アララト山の横を走る。

8月で、ここまで空気が綺麗なアルメニアは素晴らしい。

なお、ギュムリ行きNo.684 が結構裏被りする。この時は奥まで抜けてくれたが、3両と短いのに被ったときもあった。

 

②-3 イェラスフ行き普通

 

6512/6517 のイェラスフ行きは、角リーチカの確率が高い。

月〜水,木のセヴァン湖行きが走らない日は丸のときもあった。

 

別の日に撮ったのだが、乗務員すら全く同じメンバーなきがする…

 

たまたま丸リーだったときの例。イェラスフ行きのときのほうが8月では限界光線なので素晴らしい。

2023/8/15 19:10

8/15は火曜日であり、621編成は湖行きの仕事がないからだろうか?

 

③国際列車 エレバン – トビリシ- バツミ

 

国際列車がエレバンからグルジア(ジョージア)まで直通している。

夏はバツミまで直通運転する。

 

ギュムリ郊外にてイポンスキーカット。

どう見ても客車がRZDで風情がない。昔はアルメニア独自塗装の赤と青の客車だった。2021年に今の新しいものに置き換わった。

Новые вагоны ЮКЖД производства Тверского вагоностроительного завода отправились в первый тестовый рейс

公式ニュースによると、「2021年6月8日にテスト走行が行われ、6月15日から導入される予定」とのこと。27両をRZDから受領した。

 

旧客車

2020年2月当時。冬であり、またコビッドが始まりかけていたせいか、たった3両の国際列車だった。

 

パプリカの畑。農民がここで作業しており、この野菜を大量にくれたのでドミで少しずつ焼いて毎日食べた。

ヴィー生活。

 

セヴァン湖行きリーチカを追って

 

僕がアルメニアに8月に来た理由は、なんと言ってもセヴァン湖行きのリーチカだ。

アルメニアは”わかっている”ので、キルギスみたいに新型車をブチこんで喜んだりせず、ソビエトの丸い電車を花形の臨時列車に使っているのだ!

歴史有るアルメニア教会を有し、古いものは良いものだという感覚があるのかもしれない!(こじつけ)

 

徒歩、タクシー、レンタカーを使って滞在中何度も撮りに行った。

 

レンタカーの追っかけは2023.08.13

峠越え区間。幹線道路沿いから簡単に撮影できる。

 

旧ソ連の端の小国、その中でもさらに山奥で、どう考えても電化する場所ではない。

こんなとき「ソビエト」の力を実感する。

 

勾配の多い区間を登りきり、平坦なセヴァン湖沿いの区間へと近づいていく。

アルメニアは旧ソ連内の小国だが、それでも線路が奥まで長く抜けるように見える。大陸らしい。

 

ここで、とんでもないボロボロのUAZ(軍用ジープ)を止めてじいさんが農作業?をしていた。そのジープの写真を取らせてもらった。

すげえ車だ!と言ったら「レゲンダーリノエ」と爺さんが言ってその単語はここで覚えた気がするw

 

湖区間に入る。

 

8/19

 

この日はマルシュとタクシーを利用して撮影した。

まずマルシュで大俯瞰を再訪問。似たようなカットなので省略する。

その後Hrazdan の町へ向かう。おっさんがガソリンスタンド前で、GAZのボンネットに水をかけていた。エンジンがオーバーヒートしているらしい。それに便乗させてもらった。

 

Hrazdan でソ連っぽいバスターミナルを外から見た後、Yandex でタクシーを呼んで、レンタカー時に満足行くカットが撮れなかったので再度挑戦。パジェロミニが来た。

日本語のオーディオの操作がわからないとのことで、なんか教えた気がする。

帰りも含めて2倍の金額を払うと交渉し、タクシー下で待ってもらった。

 

2023.08.19

しかし、こんな日に限って列車は遅れていた。イライラしてたので友人に通話して時間を潰した。

タクシードライバーが「もうこねーよ、もう行ったらしいよ」と下で言い出している。

1時間30分たち、僕も流石に来ないかと思い三脚を未練たらたらで畳み始める。

 

その時、遠くから警笛の音がした。

手持ちであるが、遅延したおかげでむしろ良い光線で撮影できた。

 

 

おまけ:ヒッチハイク

 

8/19の HrazdanからエレバンまではYandexでは終バスがあるはずだが、来なかったのでヒッチしたらエレバンまで直通のSUVが止まった。

アルメニア人はヒッチで止まってくれる人が多い。しかも隣のアゼルナントカみたいに金とらない!

昔カラバフ行った時、丸一日バス1本以外全部ヒッチとかいうアホなこともしたのが懐かしい(当時は若かった)。エレバン駅の警備員以外はアジア人見下しが世界的にも少ないと思う。

 

アルメニアで現存するER2 丸

 

筆者が見た限り3編成の丸リーチカが現存。

  • ER2 621 (4両編成)
  • ER2 985 (4両編成)
  • ER2 983 (3両編成) 区間列車専用

 

 

列車ごとの傾向

 

運用はかなり固定されているので、丸を狙うのは簡単。(?)

(追記) ついこの間行った羽黒さんによると、結構変わってしまったらしい。

 

※以下は2023年のものなので、今は変わっているそうです。当時のものと思って当てにしないでください!

 

湖行き夏季限定臨時

 

◎丸リーでほぼ確定。ごくまれに角の目撃証言あり(2023年)

  • No.6530 Yerevan 830 – Shorzha 1143
  • N0.6531 Shorzha 1700 – Yerevan 2035

金土日のみ!

 

ギュムリ方面快速

 

☓確定新型

  • No.100 Yerevan 915 – Gyumri 1125
  • No.101 Gyumri 1940 – Yerevan 2150

 

ギュムリ方面普電

 

◎丸リー確定 筆者のときは985編成固定

  • No.682 Yerevan 1825 – Gyumri 2146
  • No.681 Gyumri 745 – Yerevan 1057

 

☓絶対新型

  • No.684 Yerevan 755 – Gyumri 1103
  • No.685 Gyumri 1815- Yerevan 2123

 

☓寄りの△ ほぼ新型だが、軌跡が起きれば旧型に入る?

  • No.686 Yerevan 1425 -Gyumri 1730
  • No.687 Gyumri 1155 – Yerevan 1505

 

アラクス行普電

 

◎丸リー 983編成 3両 確定

  • No.7010: Yerevan 1935 – Araks 2041
  • No.7011: Araks 710 – Yerevan 827

 

イェラクフ行き

 

○角リー、丸リーガチャだが、旧型車は確定

  • No.6517: Yerevan 1900 – Yeraskh 2032
  • No.6512: Yeraskh 630 – Yerevan 817

 

サイトで、日付指定すれば見れるらしい!

 

 

マルリーの今後予想

 

羽黒さんが直近で訪問したツイートによると丸の

ともに現役 (2024年8月現在)

 

いつまで丸リーチカが走るかはわからないが、カラバフ戦争の際にロシアは一切アルメニアを助けず、アルメにおいて対露感情が悪化。近年ロシアとアルメニアの関係は悪くなっている。

例: Russian Border Guards Leave Yerevan Airport 

2024年7月31日にエレバン空港からロシア国境軍が撤退した。これは昨年のアルメニア側の決定によるもの。(逆に今まで何で居たんだよって話だが)

 

YKZhDは、RZDによる出資なので、アルメニアへの嫌がらせとして新型車なんてくれてやらないということになるだろう (旧ソ連はやる事が幼児のケンカみたいで分かりやすくておもしろい。幼児が核もってること以外は) そのため丸リーチカが安泰なのではないかというのが筆者の予測だ(もやもやするけど)

 

おわりに

 

筆者は2020年に初めて訪問し、2023年の2回にもER2が変わらず走っていたのは感慨深かった。

ER2は「ソ連そのもの」なデザインであり、いくらアルメニアでもあんなものとっくに廃車だと思ってた。

 

丸いリーチカは本当に素晴らしい。

 

2020年頃はバンダリズムがない列車だった。また、緑のソビエトカラーだった。

 

筆者はまだ行けるんじゃないかと予想はしているものの、どう見てもボロいしいつ廃車になってもおかしくない。行くなら早く、そして夏をおすすめする。

セヴァン湖行きリーチカにぜひ乗っていただきたい。

 

 

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