訪問 2022.07
キルギスの鉄道はあまり有名ではないが、通年でロシアからの国際列車があり、近郊列車も走っている。
夏限定の列車がイシク・クル湖まで走り、途中の山岳地帯の景色は魅力的だ。
キルギスの鉄道概要
総延長は320km (ウィキより)
2006 年のキルギスタンの鉄道の長さは 470 km でしたが、2012 年には 424 km しか残っていません[3]。鉄道輸送は、貨物の売上高の約 3% を占めています。2000 年代初頭の車両の減価償却率は高く、貨車 2,500 両、客車 450 両、機関車 50 両となっている。輸送は国営企業「Kyrgyz temir jolu」が行っています。 国の鉄道網は、点在する行き止まりの路線で構成されています。国の北部とカザフスタンの鉄道、南部とウズベキスタンの鉄道網が別々の路線で結ばれています。
Железнодорожный транспорт в Киргизии — Википедия
ロシア語版だと424kmとあるが、複線区間を水増しして計算してるロシア方式だと思われる。
北部と南部に分かれている
キルギスの鉄道は大きく2つに分かれており、首都のビシュケクと、南部のオシだ
- ビシュケク: 旅客、貨物あり カザフ鉄道に接続
- オシ: 貨物のみ. ウズベク鉄道に接続
前者のビシュケクに接続する旅客・貨物について当記事で紹介する。
後者のオシは、筆者は訪問していないが、現地在住のトロリーろば氏によると、OSH、ジャララバードは貨物動いているとのこと。後半に引用にて少し紹介する。
キルギスの鉄道 旅客列車概要
キルギスの旅客は、3種類ある。
- 国際列車 ロシア行 3つの行き先がある (オレンジ、緑、赤)
- 夏限定 バリクチ(リバチエ)行き臨時列車
- 国内近郊列車 (プリグラドヌィ) 客レで運行
※国際列車のルートが新設、廃止で変更になることはあるので、最新の情報を国鉄HPで見てください。
路線図
地図は筆者作成
黒→近郊列車
青→夏季限定臨時列車
ほか→ロシア行き
ビシュケク付近、その他の諸都市には沢山の貨物専用引き込み線があるが、そこまで僕は網羅できないので省略する。
時刻表は以下の公式サイトにて
Расписание поездов :: Кыргызские железные дороги
国際列車ロシア行
ロシア行の列車は3種類ある
- ビシュケク サマラ 週2
- ビシュケク カザン 週1
- ビシュケク ノボシビルスク 8日に1本
※時期によって変わるかもしれない。乗るときは国鉄公式で最新を見てください。
ビシュケク カザン
筆者が乗車したビシュケク-カザン 列車番号305の様子を紹介する。
Поезд №305 Бишкек 14:03 -Шу-Казань
列車番号 305 ビシュケク2駅 17:03発 (モスクワ時間14:03) 月曜発
筆者はビシュケク カザンに実際に乗車した。ロシアにはビザもなく行けないのでカザフスタンのカラガンダで下車した。
国際列車で不安なのは出入国だが、カザフスタン入国は問題なく可能。
この列車はシュでアルマトイ発のカザフ国鉄の国際列車(6両)と併結する。
乗車記はこちら
運賃
国際列車は高額だ。筆者はカザフスタンのカラガンダまで乗車したところ、4688ソム 約8000円。
ビシュケク17:03、カラガンダ着14:30で19時間27分で8000円も取られる。日本の感覚から言えば安いが、カザフやウズベクの国内線なら2000円か2500円程度の値段が常識だろう。
旧ソ連では国境をまたぐ列車は異様に高額に設定されている。
仮にカザフ国内のみを利用する場合でも、同様に高額な料金となっている。
切符
ビシュケク2駅で発券すると、ソ連紙チケットが発行される。
用紙は中央アジアらしいうねうねした模様だ。
ЗЗは、外国人パスポートの意味なので正しく発券されている。
客車
客車は古いプラツカルトで、このプラツカルトに8000円を払う価値は無いだろう。
筆者が乗った時はプラツ+クペー(確か2両)で合計9両編成だった。
こちらのニュースサイトによると、キルギス国鉄は独立以来、新しい客車を購入したことは一度も無いのだそう。そのため花形であるはずの国際列車に旧式プラツカルトが使われている。
レストラン(食堂車)
無い。旧式の解放寝台で8000円も取ってレストランが無いのは設備としてショボすぎると思う。
夏限定臨時列車
キルギスに6月中旬~8月に来るならこれは必見だ!
というか、キルギスの鉄道はほぼ見るもんが無いので、是非ともこの時期に来るべきだ!
6月中旬から8月末まで、イシククル湖の湖岸の町バリクチ (駅名はリバチエ)まで列車が走る。6月は週末のみ運行で、7月と8月は毎日運行。
TE10VかTE10Mが牽引する。(2022年まで)
2023年から TE33A牽引が主となりました。稀にTE10の場合もあります。フォロワー氏が行って激Vを撮っています。
途中峠越えの山岳区間を走るが、この天山山脈の一部である山は非常に脆く、土砂崩れでいきなり運休になることがある。実際、筆者がレンタカーで撮り鉄した1週間後に村ごと流され列車が運休になった。
土砂崩れ発生は2022年7月31日だった。
ビシュケク-2 – バリクチ方向の旅客列車ルートは 8 月 15 日から再開されます
これは土砂崩れで運休になったあと、8月15日から再開したとのニュース。復旧に2週間と結構かかっている。
Бишкек-2 — Балыкчы жүргүнчү поездинин каттамы сентябрда токтойт :: Жаңылыктар :: Кыргыз темир жолу
9/1に今年の運行は終了したとの報(これは予定通り)
時刻表
- Поезд № 608 Бишкек-2 7:40 -Рыбачье 11:42
- Поезд № 609 Рыбачье 17:42 -Бишкек-2 21:50
運賃
- 普通車 150 ソム
- 特別展望車 500ソム (リュクス)
特別展望車は2022年夏から運行開始。毎日繋ぐ訳では無いので注意。
客車(普通車)
プラツカルト。古い。非冷房。
普段は7両編成で、多客期になると8両になったり、10両になったり、後述する特別展望車を含めて11両になる。
この列車結構混むので、座りたい席(北側や南側)があるなら30分前くらいに来た方が良いかもしれない。北側に座った方が峠越え区間の景色が良い。
マルシュの場合ビシュケク→バリクチが250som であり、100som安いからかもしれない。
バリクチ駅に到着した列車。観光客が大量に下車している。チョルポンアタなどそれぞれ目的地までのマルシュに乗り込む。
特別展望車 リュクス (ЛЮКС)
普通車のプラツカルトは壁が多く圧迫感があるが、こちらは旧ソ連の車両とはとても思えない解放感がある。いっそ小田急ロマンスカーより車内は明るいのではないか!
完全冷房。窓が広く、車内では30円で飲めるコーヒーの車販がある。
手作り感が半端なく、イスはシートベルトが付いておりバスの部品の代用。
トイレは水洗だが、ドアやトイレ自体も家庭用のものだった。
筆者はビシュケク→バリクチを2度乗車し、普通車と特別展望車の両方に乗ったが、やはりクーラーがあるのは人権レベルが断然違った。価格が3倍以上高いが、どうせ500som=700円程度なので、展望車連結日ならこちらがおすすめだ。
日本のワイドビュー特急よりも明るいし、天井付近の曲面窓はソ連バスPAZ672を思わせるデザインで秀逸である!
2022年6月のニュースによると、「廃止されるワゴンをベースに」「パノラマの窓、個別の座席、空調システム、冷蔵庫、飲料水用のクーラーを設置」したとのこと。
これ最後尾に、今年に近代化改修されたキルギス唯一の冷房付き展望車がついてるのよ それで11連
このワゴン完全不定期だからマジで運良かったhttps://t.co/63YPW6sSAs— 石器時代 (@NsaYamamoto) July 26, 2022
切符について
切符は当列車専用の青い切符がある。サイズはソ連チケットと同じであるが、コピー機で作ったと思われる手作り感あるものだった。
近郊列車
Расписание поездов :: Кыргызские железные дороги
ビシュケク – カインディ
- Поезд № 6063 Бишкек-2 17:32 -Каинда 20:01
- Поезд № 6064 Каинда 5:07 -Бишкек-2 7:32
毎日運転
編成: プラツカルト6両
運賃: 56ソム チケットはレシート。
TE10のほか、TEM2やTE33が牽引する時もある。
筆者2022/7/14乗車
カインディ駅には、ソ連製ロット式機関車ТГМ23В48-2299がいる。これは珍しい。
キルギスレベルの僻地へ来るとソ連製ロット式機関車とかがいきなり出てくる pic.twitter.com/LnfZq0bqgG
— 石器時代 (@NsaYamamoto) July 16, 2022
ТГМ23В48-2299 — RailGallery 1990 年製
私企業による所有で、トレピク上では廃車になっているが、実際は走っている。僕が見たので間違いない。
ビシュケク – トクマク
- Поезд № 6050 Бишкек-1 17:15-Токмок 19:30
- Поезд № 6051 Токмок 5:05-Бишкек-1 7:21
毎日運転
※注意。ビシュケク1は17:15とあるが、実際には17:12頃に出発する。(現地在住の方も早発すると言っていた。理由は不明。)
※注意2 ビシュケク1には迷彩服着たレイシストで罵倒してくる頭おかしいキルギス人警備員がいる。(後述)
編成: プラツカルト4両編成
運賃: 56ソム チケットはレシート。
TE10のほかTE33が牽引する時もある(筆者が見た所 ビシュケク→トクマクはTE10、折り返しはTE33で来ることが多い?)
筆者2022/7/31乗車
トクマク駅。ベンチに迷彩服の2人コンビが座っていて察したのでスマホで撮影。
この時は察しが良かった(というか学んだ)が、僕の普段通りのアスペかまして空気読まなかったらまた罵倒されてたと思う(罵倒については後述)
切符の購入方法
- 国際列車→駅窓口で事前購入 ソ連チケット
- 夏季臨時→駅窓口で事前購入か車掌から 普通車はレシート、特別展望車リュクスはオリジナルの券
- 近郊列車→車掌から購入、レシート。
国際列車のみパスポート必要。
ビシュケク2駅ではクレジットカードは使えない。
貨物
キルギス国鉄は貨物がメインで、旅客はおまけでやっているそうで、TE33Aで良ければ貨物は結構撮影できる。
例えば僕が行ったビシュケク西ストレートでは、順光時間帯にTE33A 3本、TEM2 1本が奇麗に撮れた。
ビシュケクより西ではTE33Aが引く貨物が割と頻回に来る。
TEM2が牽引する物や、工事用?と思われるTE10が来ることもある。
ビシュケクより東では本数が少ないが、リバチエに石油を使うなんか工場があるらしく(現地在住の方が言ってた気がする)、貨物は来る。ただし本数は少なく、時刻は一定でない。毎日1本くらいは必ず来る。
オシュの方について
キルギス鉄道は大きく2つに分かれ、南部のオシやジャララバードにはウズベキスタン鉄道と接続し貨物がやってくるそうだ。筆者は未訪問。
オシュの鉄道は2023年3月に訪問した。レポートは以下。
パクノフ伍長はかつて訪問され、貴重な写真を撮っている。情報ありがとうございます。
キルギス、基本駄目だけどこんな感じで巻き込んじゃえば少しの間だけ没問題。
(これプリントして彼らにやったら大喜びしてたな。撮影場所はジャララバード) https://t.co/UKLF8Lf4zi pic.twitter.com/PAyY47D7bU— パクノフ伍長 (@mustang51b) August 2, 2022
車両
上の通り、キルギスではDMUやEMUは無く、客レと貨物のみである。
旅客、貨物ともに機関車は同じで
- TE10V
- TE10M
- TE33A
- TEM2
ほぼこれしかない。工場引き込み線でТГМ23Вなどスイッチャーが居るところはある。筆者はカインディで確認。
旅客:
国際列車はTE33Aで運転2023年に行った人によるとTE10の場合もあるようです。- 夏季バリクチ行きはTE10V か TE10Mだけが来たので渋い
- 近郊列車トクマクはTE10のときと、TE33Aで来ることがある(主に朝のビシュケク行がTE33Aが多い気がした)
- 近郊列車カインディはTE10の方が多いが、TE33AかTEM2で来るときがある(ほんとガチャ
貨物:
- ビシュケク~バリクチ(リバチエ)は、TE10で貨物が来るが、1日1本くらいしか来ない(筆者が見る限り)
- ビシュケクから西のカザフ方面は、貨物は多いがほぼTE33A。たまにTE10、TEM2が短い貨物(または工臨)引いてくるときはある。
全て筆者滞在時なので、変更になる可能性あり。
キルギスで鉄道撮影は可能か?
沿線は可能。駅撮りは隠れながらやるべきだ。
沿線撮影
沿線撮影で捕まることは無い。
市民の反応としては、キルギス人は「スパイか」とか誰が金をお前にあげてるんだとか、どうでもいいことを聞いてきてソ連脳を見せつけてくることはあるものの、だからと言って警察にチクるほど性格は悪くないので、安心して欲しい。
キルギス人はタジク人よりは他人行儀なのだ。
駅撮影は制止されることが多い
ビシュケク2では、カザン行の国際列車乗車時に、デブで横柄な警備員に制止された。
夏季限定臨時の出発時は何も言われず、客が多すぎてバレなかったのか、ユルい警備員だった可能性がある。
またリバチエ駅でも、多くの観光客が既に去った後、長時間撮っていると禁止と言いに来るが、リバチエ駅の警備員は説得が通じるし、人としてマトモな感じだった。
ビシュケク1駅は超危険
ビシュケク1駅は迷彩服を着た警備員が異様に多い。ビシュケク1は国鉄本社や車庫があるのでこうなのかもしれないが、この警備員にホンモノのクズが居るので、いく時は細心の注意を払ってほしい。
僕は一眼で近郊列車を駅撮りしたところ、大声、怒鳴り声で罵倒された。殴るなどの暴力はギリギリなかったがほぼ寸前レベルであった。
パスポート提示など、適切と思われるプロセスは一切なく、自分より背が低くて弱そうな中国人を罵倒したかったとしか思えない。
あの恐怖体験は海外鉄でも最悪なので、ビシュケク1で撮るときはぜひ気を付けて欲しい。というか大して見るものはないので行かなくていいと思う。
そのキトィガイが非番の日であれば問題ないだろう。
加えてその迷彩服を着た人は列車が発着する時だけ散歩がてらに出てくるので、列車が来ない時間帯は駅舎撮影は問題なかった。
車掌も撮影禁止とか言ってきてウザい
ビシュケク1発トクマク行きの車掌は、カメラを持って乗り込むと撮影禁止と言ってくる。ウザい。
なおカインディ行きに乗った時は特に何も言われなかったので、性格良い車掌もいる。
国際列車と夏季限定リゾート列車の車掌は観光客慣れしているらしく、写真OKだ。
レンタカーについて
キルギスはレンタカーキャパが少ない。
夏だけ観光客が押し寄せるため、すぐに予約がうまる。加えて欧米人旅行者はたぶん1週間や1ヶ月で借りていくので、本当に夏季の直前予約はほぼ無理と言っていい。
最低レンタル日数3日など制限はある。
筆者はレンタカー鉄したが、コネでなんとか借りることができた。
おわりに
ローカル列車の車掌と警備員と人間はクソ
ほとんど罵詈雑言の項からも分かる通り、僕はキルギス人がどちらかというと嫌いです。
田舎脳でソ連脳(すぐシュピオンとかいう)のくせに、下手に民主化して先進国ぶって欧米人を入れまくって、そこでミスマッチが起きてイライラしてるんじゃないですかね。
中国人罵倒しても所得は増えないよ。
もちろん良いやつもいるんだが、まぁぼちぼちレベルですね。
沿線撮影は神
キルギスは沿線撮影は神です。
僕はキルギスは見る物は無いと思うし、地元民は中央アジアにしては冷たくレイシストが多いと散々罵倒したが、
キルギスの沿線撮影はやるべきだ。全ての価値はここ天山山脈にある。
参考リンク
キルギスに観光列車が到着 :: ニュース :: キルギス鉄道
ドイツ公式訪問団の貸し切り臨時もあるらしい。
キルギスと非常に仲が悪いタジキスタンにある鉄道。2022年9月に「また」両国は軍事衝突をしている。