東ドイツで最も優れた建築物。-山本
ドイツ旅行に来て運河エレベーターを見ないなんて、
たこが入っていないたこ焼きの様なものだ -山本
グーテンモルゲン。
NSZ 代表取締役の山本です。
ドイツの首都、ベルリン郊外の小さな町、ニーダーフィノウ。
そこに想像を絶する巨大人工構造物があった。
関連記事
http://syachikuai.com/2019/01/14/%E3%80%902025%E5%B9%B4%E5%BC%95%E9%80%80%E4%BA%88%E5%AE%9A%E3%80%91%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%8E%E3%82%A6%E3%81%AE%E9%81%8B%E6%B2%B3%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%83%99%E3%83%BC/
1.「運河エレベーター」って何？
水運は、最も古くから人類が用いてきた移動手段です。
高低差のある地形は、水上輸送を試みようとする人類にとって、障壁となっていました。
異なる高さの水面を行き来する方法として「閘門(こうもん)」が代表的です。
閘門は運河の途中で、船の全長ほどの区間を2つの水門で挟み、排水、注水を交互に行うことで、
高い方から低い方へ、低い方から高い方へと船を移動させることが出来ます。
水運が盛んな欧州ではしばしば見かけることがあります。(上の写真もドイツの閘門です)
有名なパナマ運河にも太平洋と大西洋に高低差があるので、3か所の閘門があります
しかし、あまりにも高低差が大きい場合、閘門では限界があります。
でもどうしても船を通したい。
どうすれば良いか？
エレベーターに水槽を設置して水を放り込み、船を持ち上げてしまえばいいではないか。
そうして1789年、世界初の運河エレベーターはドレスデン(プロイセン)のフールプリンツ運河 で生まれました。
高さは 7 mだったそうです。
2.ニーダーフィノウの運河エレベーター
それから145年後の1934年彼らは、
東ドイツ史上最強の戦闘力を誇る施設を作り上げた。
※当時においては東独どころか世界最大の運河エレベータです。
尋常ではない存在感。
明らかな異質。
怪物的。
民家と全然馴染んでません。
いやむしろ、突如襲来したエイリアンに対抗すべく急造した施設で、
悠長に用地選定をしている暇がなく、結果的にこういった風景が出来上がったという経緯があるのかもしれない。←譫妄
口を開けた部分が、
ロボか戦闘機のハッチにしか見えない。
スターウォーズだったら、縦長の変態空母なんてむしろ敵軍が使っていそう。
もしVTOL機がここから出て来ようが、ガンダムが出てこようが、私はまったく驚かないと思います。
ニーダフィノウに住む主婦でさえもVTOL機が出てくるのが台所の窓から見えても普通にソーセージを焼き続けるかもしれません。
エレベータ最上部を見ると艦橋としか解釈できない窓の列が。
地球軍の最高指揮官は、地球にエイリアンが襲来したとき、全70億の生命と緑豊かな大地を守るため、ここで指揮をとることでしょう。
少なくとも私が地球軍の最高司令官だったら絶対ここを司令塔にしますね。
そして、エレベーター壁面に記された、ただならぬ雰囲気の鉄板。
封印されし古の知恵は、エイリアンを打ち倒す鍵となるでしょう。
（全部妄想。普通にベルリンって書いてあるし。）
……
ニーダフィノウの運河エレベータのスペック
もちろん実際には宇宙空母ではなく、水運のための施設です。
高さ 60m
全長 94m
幅 27m
下の水面から上の水面までの高さ 36m
エレベータが上下する所要時間 5分(片道)
鉄骨の重量 14000トン
水槽の長さ 85m
水槽の幅 12m
水深 2.5m
水で満たされた時の水槽の重量 4290トン
貴乃花親方を26645人運搬することができます。
重りをぶら下げるワイヤー 256本
入場料 €3
Niederfinow Boat Lift -wikipedia(en)
です。
宇宙ロボ基地の妄想は抜きにしても本当に凄い構造物です。
芸術です。
3ユーロ払って上まで登りました。
ここで、はたらく船を間近で見る事が出来ます。
信号機のとんがった傘がいいね。
ん？
こわっ
海の荒くれもののネーミングセンスは狂ってます。海じゃなくて運河だけど。
3.惜別！旧エレベータは2025年廃止
船舶の大型化が進み、1934年製の旧式運河エレベータでは輸送力に限界が来てしまいました。
そのため現在、新運河エレベータを建設中です。
これが完成すると、旧エレベータはその役目を終えます。
新エレベーターは2019年完成予定でしたが、
案の定公共工事は延滞し、2025年に完成予定となっています。
Niederfinow Boat Lift -wikipedia(en)
良い事なのか悪い事なのか、微妙ですが、
旧東ドイツに超然と佇む産業遺産を
現役のうちに見に行きたい我々ツーリストにとってはうれしいですね。
…….
いやまて。
旧エレベーターが廃止になるのは、この先未来に宇宙人が襲来してきたとき、
現施設を迅速に司令塔に出来るよう、今のうちに運河の機能を移転し、来る大戦に備える狙いがあるのかもしれない。
【完】
取材日：2018.2.27 および 2017.03.20
