※いやすんません。これ書いた後に気づいたんですけど、twitter見てると普通にハサン経由でハバロフスクへ抜けるルートで乗ってる日本人いますね。尊敬します。
どうも。NSZ山本です。
今回は、実際に行ったわけではないのですが、
韓国と中国の間にあるあの国の時刻表をネットで閲覧できることに気づいてしまった
ので、報告します。
あまりにも面白かったので。
方法
方法は至って簡単。
ロシア国鉄は周辺の様々な国に直通しています。
中国と韓国の間にあるあの国も例外ではありません。
RZD(ロシア国鉄)はあの国のピから始まる首都まで直通しています。
検索方法
RZDのホームページ
ここで検索します。
pから始まる例の首都を入力しても予測変換が出ません。もちろん検索してもダメです。
例えば、検索にちゃんと引っかかるロシアの大都市ハバロフスクは左のように予測変換が出てきます。
そこでロシア領内で最も国境に近い町の名前を探します。
ロシア領土内で最もあの国に近い駅はハサンという駅です。
ハサンは、ウラジオストクから南西へ275kmの街。中国、ロシア、例のあの国の3カ国が国境を接しています。
Hasan と入れて検索すると。
No trains in a given date.
駅名はちゃんと認識するんですが、列車の結果は出てきません。
気合
ここは気合で出発日を片っ端から、一日ずつずらして延々クリックします。
おあああああああああ
No train on a given date
No train on a given date
No train on a given date
No train on a given date
出たー
毎日運転ではないようです。
運転日が限られているせいで殆どの日で「No train on a given date 」と表示します。
トライアンドエラーで延々すべての日をクリックしていると、ある時急に出てきます。具体的には6/7です。
また、右上の
「only with tickets」のチェックを外しておけば、満席の列車も表示できます。
時刻表
上で出た6/7 16:30ハバロフスク発、 100シーというの列車の
Route を押します。
その列車の始発から終点までの全ての駅の時間が書いてあるものです。
コングラッチュレーション。
興味深い時刻表です。
ピまでの中間停車駅がちゃんと乗っています。
時差について、NKの時間は、極東アジア地域標準時間(GMT+9)で合っているよう。
ハサン(Хасан)の右のDeparture Time は12:30
国境を渡ってТуманганという駅の Arrival Time は11:45
ロシアの国境から入る時、1時間ずれているのは、ロシアのウラジオストクの標準時がGMT+10で、こっちがGMT+9のためです。
このままだと分かりにくいので、csvに起こします。
最初にロシア語の駅名と英語の駅名と日本名とたまにハングルの整合を取ります。気がおかしくなりそうです。
Туманган = 두만강
Унсан = Unsan =雄尚
Сенбон = Sonbong = 雄基
Раджин = Radzhin = 羅津
Хучан = Huchang-yong = 후창역
Чхонджин = Chhondzhin = 清津
Ранам = Ranam = 羅南
Килжу = Kilju = 吉州
Кимчиек = Kimchaek = 城津
Танчен = Tanchŏn = 瑞川
Хамхын = hamhung = 咸興
Ковон = Kovon = 高原
Пхеньсон = Pyongwon = 旧舎人場駅(推定)
Пхеньян = 首都
↓
路線図
時刻
russian | japan or korea | Arrival | Standing time | Departure |
---|---|---|---|---|
Туманган | 두만강 | 11:45 | 4h.55 min. | 16:40 |
Унсан | 雄尚 | 17:39 | 31 min. | 18:10 |
Сенбон | 雄基 | 18:30 | 7 min. | 18:37 |
Раджин | 羅津 | 18:47 | 28 min. | 19:15 |
Хучан | 후창역 | 19:46 | 57 min. | 20:43 |
Чхонджин | 清津 | 22:46 | 36 min. | 23:22 |
Ранам | 羅南 | 23:32 | 6 min. | 23:38 |
Килжу | 吉州 | 3:06 | 12 min. | 3:18 |
Кимчиек | 城津 | 4:31 | 11 min. | 4:42 |
Танчен | 瑞川 | 5:48 | 20 min. | 6:08 |
Хамхын | 咸興 | 12:07 | 25 min. | 12:32 |
Ковон | 高原 | 13:41 | 25 min. | 14:06 |
Пхеньсон | 舎人場 | 19:19 | 9 min. | 19:28 |
Пхеньян | 首都 | 22:00 |
Туманган の出発時間が16:40
例の国の首都ピの到着時刻が翌日の22:00
두만강(Туманган)から首都ピまでの直線距離は500km程度。
日本で言えば東京から青森の距離と同じくらいです。
それを29時間20分かかっています。
29時間20分かかっているってどんな鉄道技術だ?
「はくつる」で東京→青森は12時間だったとのこと。
しかし、
ロシア国境付近の街から首都までのあくまで直線距離なので、線形は一切考えていません。
もし線形が無茶苦茶悪くて、大船渡線かゴッタルドベーストンネルが出来る前のスイスとイタリアの間みたいになっているとしたら、
単純に東北本線を走っていた特急はくつると比較するのはフェアではありませんねえ。
でもあの国の鉄道のキロ程なんて絶対分からねえ。入手不可だ。
諦めかけたその時!(続く)
速度
BBC公式のこちらの動画によると、あの国の鉄道の
最高速度は50km/h とのこと。
十分に遅いことはわかりますが、せっかくなら私としては
先程のRZD時刻表とどこからか入手したキロ数を元に表定速度を算出したいところです。
キロ程を調べる方法は無いわけではありません。
簡単な2つの方法があります。
- 復刻版時刻表
- 日本鉄道旅行地図帳 朝鮮
これらの方法は完璧ではありません。何せ80年も前の情報なので。
しかし参考になるはずです。それにNK国がそんな大近代化してるとも思えませんし。(あくまで個人の感想)
とりあえず自宅に②の日本鉄道旅行地図帳があったので使うことにしました。
日本鉄道旅行地図帳 朝鮮台湾 (新潮「旅」ムック) | 今尾恵介, 原武史 |本 | 通販 | Amazon
1945年以降に建設された区間(清津~羅津)がありそれはムックには非掲載です。キロ数は分かりません。清津から北は算出から除外しました。
さらに朝鮮国独立後、細かい線形改良が行われている可能性はあります。でもどう考えてもその情報は入手不可能なので、無視します。
先程の時刻表から駅間の走行時間と、上のムックから距離を出して入力。
区間 | 走行時間 | 走行距離(km) | 走行速度(km/h) |
---|---|---|---|
두만강-雄尚 | 0:59 | - | - |
雄尚-雄基 | 0:20 | 12.3 | - |
雄基-羅津 | 0:10 | 15.2 | - |
羅津-후창역 | 0:31 | - | - |
후창역-清津 | 2:03 | - | - |
清津-羅南 | 0:10 | 13.1 | 78.6 |
羅南-吉州 | 3:28 | 120.7 | 34.81730769 |
吉州-城津 | 1;13 | 42.3 | 34.76712329 |
城津-瑞川 | 1:06 | 42.4 | 38.54545455 |
瑞川-咸興 | 5:59 | 188.6 | 31.52089136 |
咸興-高原 | 1:09 | 81.9 | 71.2173913 |
高原-舎人場 | 5:13 | 187.6 | 35.96166134 |
舎人場-首都 | 2:32 | 25 | 9.868421053 |
時刻と距離を入力した結果がこれ。
※清津-羅南と咸興-高原は何故か80キロくらいでぶっ飛ばしていますが、そんな事はあり得ないのでおそらく駅の位置が変わってると思います。
80年前の資料とむりやり合わせているのでそこはご勘弁ください。まともな資料が無いし。
それら例外を除くと
時速約35kmで走っている。
この計算には停車時間は含みません。単純に走ってる速さです。
表定速度
清津からピから始まる首都まで、合計距離が701km
清津発23:22
ピ着22:00(翌日)
時間:22時間38分
つまり
表定速度30.1km/h
うん。遅いね
遅い。
遅すぎる。(十万石饅頭)
いや待て。
そういえばあの三江線は江津から三次108.1km、所要時間4時間だったので、
三江線:標定速度27km/h
偉大な元首様がお恵みくださった鉄道:30.1km/h
結論
韓国と中国の間にある例の国の鉄道は、三江線より速い。
速い。
速すぎる。(十万石)
SUPER FIRST!
国家の一応幹線でこのスピードは中々なのではないでしょうか。
運転日
1カ月の間でおおむねパターンを組んで運行しているようです。
月によってたまに日付がずれているので注意が必要です。
月6本走っています。
下り
ハバロフスク発 6月1日(7月は2日) 、7日、11日、18日、21日、23日、27日
→ハサンは+1日
→P終着は+2日
(始発駅はモスクワ)
上り(モスクワ行)
ハサン発 4日、8日、12日、18日、24日、28日
→ピ始発は-1日
8日と28日はUssuriyskで乗り換え有
予約
有名な話ですが、NKへは個人で行くことは出来ません。
中国の旅行代理店を経由するしかありません。
ロシアの国境手前、ハサンまでならあくまでロシア領内なので、行くことは出来るはずです。
とりあえず、ハサンまで予約する方法を書いておきます。
政治的な問題のせいか、できれば人を乗せたくない?のか、
仮にハサンまでの乗車だとしても、ほとんどすべての列車が満席扱いになっています。
明らかに何か操作されています。
3か月後の8月下旬の列車さえ満席。
3か月後の列車の席が全部埋まっているなんて絶対そんなのあり得ないので、大人の事情で消されてるんだと思います。
奇跡的になぜか2019/06/07ハバロフスク発ハサン行きは空席有り。
本当に6/7のみなので、バグなんじゃないかとさえ思います。
25号車の上段18席下段17席と、25号車の上段14席下段10席が空いています。両者とも2等車寝台です。
価格はハバロフスクからハサンで3581ルーブル。(6000円前後)
→これを書いている間に変動料金が適用して1600ルーブルになりました…. 直前投げ売りかな?
上記のように空席はあるんですが、
「Electronic registration is unavailable. You should get receipt at a cash desk.」
ネット予約は不可。切符売り場行けとのこと。
窓口で購入するしかありません。
ただし、ロシア国鉄の窓口でハサンまでの切符をくれなんて言ったら
裏方の責任者が出てきて事情聴取される可能性は大いにあります。そんな事にはめげず挑戦してみてください!
海外だと、変な場所に行こうとすると場合によってはなんでやとか聞かれる時があります。
ハサンなんてツーリストが絶対行かないような街ですし怪しいからね…
いや案外すんなり買えるかも。やってみないとわかりませんね。
おわりに
なんとな~く例のあの国の鉄道事情が垣間見えたと思います。
それがほんの一部とはいえ。
- 平均時速は30km。
- 駅停車を省いても35km/hくらい
- 三江線より速い
全く近代化していない、本当の昔ながらの鉄道が走っているに違いありません。
一体どんな車両が走っているのかこの目で見てみたいです。
私は、ボロい元中国機関車が腐るほど走ってるに一票ですが、真相は謎です。
客車についてもRZDの乗り入れ車両の他に、NK国の入国後に増結で国内の客車を繋げるかもしれません。またモスクワ直通の列車しか存在しないなんて訳はまず無いので国内線もどうなっているでしょうかね。
しかし私達には今の所、見る事が出来ないでしょう。
ツアーで例の国に入ることはできますが、まず間違いなく自国のリアルな生活の部分は見せないはず。
ひょっとしたら運よくツアーでも見れるかもしれないですが。
または私には思いつかないトリッキーな手段で実際に例の国の列車を撮影できた人が居たら私に教えてください。
一番良い方法は、例のあの国の民主化です。
アイウィッシュ世界平和。
例のあの国が民主化したらボロい車目当てでマニアが押し掛けるんじゃないかと思います。
そしたら絶対面白いね。
たぶん。
了
参考資料等:
Яндекс.Карты — выбирайте, где поесть, куда сходить, чем заняться
使わなかったので、もったいないので載せときます。