東海事業交通を知っているだろうか。大抵の人は知ってはいるだろう。
だが東海事業交通に乗った事が有るだろうか。知っていてもわざわざ乗ったことが無い人の方が多いんじゃないだろうか。
その選択は正しい。
僕は断言しよう。
あんな鉄道に乗っても意味はないと。
もっとマシな金の使い道があるだろうと。
家でネットフリックスを見ていた方が有意義であると。
※当記事は東海事業交通をディスっていますが、ディスっては居ないし(支離滅裂)、恨みはありません。No Offence.
人と生きていかない鉄道
東海事業交通は、勝川駅と枇杷島駅を結ぶというすこぶる微妙な、何とも扱いづらい2駅を結んでいる。どっちも大きなターミナルではない。
影も薄いし、路線図をチャージマン研の画面に例えてみれば、画面の端にある陰毛のように、ひょこっと飛び出ているだけである(ジョークですよジョーク)
チャーケンの事は忘れて、まずは事業交通の公式ページを見てほしい。
公式ページを見ると(2020年11月現在)スライドショーが流れる。
キャッチコピーは「駅と、街と、生きていく」
何故か無機物プッシュ…
人と生きていく気は無いのである。
最低なアクセス
人と生きていく気が無くて、路線図の印刷ミスみたいなイメージがあるが(流石に失礼すぎ)、実際に存在している。僕が行って確かめてみたので印刷ミスではないことは間違いなかった。
11月中旬。日が短くなって夕暮れ時である。
名古屋から中央線で勝川駅へ向かった。帰宅の高校生を多く乗せた211系の車内、勝川駅に近づくと左手にディーゼルカーが見え、それは東海事業交通だ。しかしJRのスピードはまだ落ちていない。なぜならまだ500m以上、JRの駅が先にあるからだ。
勝川駅に降り立つ。
勝川駅には(多分)有名な線路用地がある。ここに本来乗り入れるはずだったのか。
勝川駅、JRと事業交通間は公道を歩く
連絡通路など存在しない。
JR勝川駅の改札を出て左を見ると、イオン、コインパーキングが見えて、ようやく遠くに単行の気動車が見える。
実は見えている気動車の位置はホームではなく、事業交通の車庫みたいな施設で、あそこからホームはさらに奥まっていて100mある。水色の階段を登り切ってもさらに進まなければたどり着かない。
google map上だと向こうの駅までの距離は550mだ。
道を歩いていく。
繰り返すが、駅の連絡通路ではない。只の公道である。
案内は道端のフェンスに一応出ていて”あくまで同じ駅です”アピールをしているが、550mも離れているし歩かされているのは公道なのでこりゃあ別の駅である。事前に調べず同じ位置にあると思って3分前にJRの駅に居たら完璧に乗り遅れる。
ところで、たとい乗り遅れても中央線+東海道の名古屋経由で移動すればいいし、むしろJRを回った方が安い。本当に存在意義を抽出し難い鉄道だ。
建設費をケチったらしい
勝川駅が何でこんな離れているだよ。
名古屋の「城北線」に乗る 1時間に1本、大都市の鉄道なのに「ローカル線」の理由 | 乗りものニュース
乗り物ニュースによると「1960年代、中央本線と東海道本線を結ぶバイパス線として構想された路線」であり「当初は貨物列車だけを走らせる計画で、旅客列車が走るほかの路線との連絡を考慮しないルート」だったそう。
1976年に工事が始まったがもうすでにトラック輸送増えていた。完成間際になって貨物はやめにして旅客だけに決定。鉄道建設公団への借金を減らしたい東海がケチって勝川駅までの線路を建設せず、電化もしなかったらしい。
本来の役目を一切果たしてないじゃん
貨物線として建設されたのに、本来の目的を果たせず、勝川駅は中央線につながっていない半端者。
当初貨物輸送のためだったのに全く貨物が走っていない。インp.. .流石に失礼すぎるので夢破れたシンガーソングライター程度に留めておこう(意味不明)。
ただし鉄道建設公団が腕によりをかけて作った高架路線なので、乗ってみると安定感はあった。後述する。
勝川駅
ようやく駅についたが、この水色の階段を上ってもホームは存在せず、さらに高架横の歩道を100m進まないといけない。
「列車にご乗車されない方はホームへの立ち入りをご遠慮ください」とあるが、そんな大量の人間が好き好んでこの駅に来るとは到底思えない。自意識過剰である。
ホームはこんな感じ。番線表示はJR東海と同様の字体。 1番線しかない。
駅名版も東海っぽい。
まばらな客
16:56発枇杷島行の列車が到着した。
列車からは4人の客が降りてきた。よかった0人じゃなくて。人と共に生きていく気はわずかながらもあったのだった。
奥にJR高架が見えるが、結構離れている。運転台から降りてきた運転士は律儀にも方向幕を指さし確認を行う。しかし、勝川←→枇杷島 と書かれている変更不要の幕を確認してどうするのか。万一団体とか試運転になってるかもしれないよね。億に一つはね。
発車の時間を待つが、自分と1人の女性が乗り込む。それだけ。
さっきまで乗っていた中央線は帰宅ラッシュの学生などで席に座りきれないくらいには人が居たのに偉い落差だ。とても17時頃の列車とは思えない。
ただし勝川はほぼ乗換駅とは言えないレベルの遠さなので利用されていないが、折り返しの枇杷島17:18発はたぶん15人くらいは乗っていた… 少ないけどね。
SUICAは使えない
最初から使えるなんて微塵も思っていなかったけども、期待を裏切ることなく現金商売である。
無駄に高い運賃
勝川→枇杷島 11.5km 450円
乗車時間は15分
こんなところで450円使うくらいならゲオで旧作の映画を4本買借りて家で見ていた方がよっぽどマシである。
勝川→枇杷島をJRで名古屋経由で行った場合、19km、330円で済む。本数は圧倒的に多いし、JRで行った方が普通にマシなのである。
ここで東海事業交通の汚名返上のために言っておくと、富山地鉄の金額が電鉄富山→月岡が11.5kmで530円なので、富山地鉄より安いぞ。やったねすごいね。
道中
車窓には沿線人口が多そうな景色が続いている。もしもここがJR東海に組み入れられて名古屋直通の列車があればもっと客がいただろうに。
沿線住民からは「1時間に1本しか来ないし高いし何か使いづらい電車」くらいに思われているだろう。(そもそも電車じゃないが)
- 値段が悪い
- 本数が悪い
- 直通無いのがわるい
悪いの三本柱、ダメの三位一体である。
このレベル(11kmで450円)だとあの高い高いと文句を言われている名鉄の方が全然マシだ。ところで名古屋では運賃の高いバトルをしているのだろうか?高い奴が優勝というローカルルールがあるのだろうか。優勝は東海事業交通で決定だ。
実際的な事を言うと、東海事業交通の沿線は名鉄小牧線や犬山線と交差しているので、自宅からチャリで名鉄の駅に行って名古屋へ向かった方が断然便利だし安いし、沿線住民はそうしていると思う。ところで名鉄と交差しているのに犬山線も小牧線も駅がくっついていない。元々貨物線のつもりだったから何も考えずに適当に役人的手法で作ったのかもしれない。
途中味美で2名乗ってきたり、比良で2名降りていた。1両なので何人乗ったか降りたかを確認できるレベルである。
小田井駅ではいきなり7人くらい乗車する。すげえ!客が来たぜ。
見るとスーツを着ている人が多い。なるほど僕も会社の経費なら毎日乗っていいかもしれない。今日の僕は自腹だ。
安定感のある直線
直線はいい。建設公団がブチかます豪華な路盤。
右手には高速、左手には中層マンションと2階建ての一戸建てが雑多に並ぶ街並みで、遠くに名古屋中心部の高層ビルが見える。その雑多な風景はお世辞にも良い風景とは言えない。
田舎の鉄道で高いし本数は少ないけど景色が良いなら魅力的である。
都会の鉄道は景色が綺麗なスラムで雑多な街並みだったとしても、安いし本数多いし急行も走ってるなら利用価値がある路線だ。
東海事業交通は風光明媚になることも高い実用性を持つことも拒否した。
俺はどっちにもならねぇ。
客なんて要らねえ。俺は、俺の道を行くぜ。
(建設公団の事情で出来ちゃった路線なので客の事なんてどうでもいいんだろうけど。駅と街と生きていくらしいから)
確かに複線非電化の直線を見ていると我が道を行っている感はある。これが俺の道。The road so far.
高い運賃を吹っ掛け、勝川の利便性は無視し、誰にも媚びない。
魅力が日本一無いと当初言ったが、その孤高の精神。誰も寄せ付けない強さに何か特別なものを僕は今見出してるッ…! (運賃高いから寄せ付けてないだけだろ。)
枇杷島駅に到着
枇杷島駅に到着すると、改札内はJRと共有なのだが車内1番前のドアで運転士が金を徴収する。そして自動改札を通せる「清算済券」が配られる。
右は岐阜方面行のJR。
写真左奥の人たちは、まばらだが乗り換え客が折り返し勝川行に乗り込んでいく。流石に帰宅時間なのでかろうじて人が乗っている。
ところで最後に気付いたんだけど、城北線と書いてあるあのヘッドマークって名古屋のシンボルたるシャチホコなんだね。
よく見ると何故かドット絵が採用されており好感が持てる
枇杷島駅の改札にはTKJのマークがある。イマイチデザインセンスが無い所には役所感と似たものがある。あのひし形はなんなんだろうか。名古屋名物の菱餅だろうか(そんな名物ねえよ)
メリット
くだらないことを成し遂げたという些細な達成感、人生のスパイスを得るには、短時間(15分)で終わるし持ってこいだろう。
看板のシャチホコがドット絵というのも良い。
また勝川駅のアクセスの悪さは、言い換えてみれば選ばれし者、ホームまでたどり着けた者のみに乗車を許す、何か聖剣めいたものを感じる。(完全に思い込み)
誰も寄せ付けない(だから高くて利便性低いからだろ)孤高の精神を感じ、社会に媚びないその姿勢を我々は見習わなければならない。
東海事業交通のように生きろ!