(おことわり)この記事は全部主観で、客観性はないです。
撮影日 19.03.2022 ~ 22.03.2022
僕は見てはいけないものを見てしまったのかもしれない。
ТЭ3
ТЭ3はロシアでよく見かけるТЭ10より前に作られたものだ。
ТЭ3は1953~1973年に合計6808両製造された。製造所はハリコフ、ルガンツク、コロムナとのこと。-wikipedia
6808両とは、ものすごい数の生産。ソ連時代の主力ディーゼル機関車と言える。
とはいえ2022年の現在、こんなものは博物館に収まっていて然るべき車両だ。
そんなまさか、TE3が走っているわけがない。そんなこと、ありえないんだよ。
行くべきか、行かざるべきか
僕は走っているか確証がないまま、チェラビンスクからノヴィウレンゴイ行の列車に飛び乗った。
向かう先はヤマロ・ネネツ自治管区 (Ямало-Ненецкий автономный округ) 。2021年秋にトレピクに目撃証言が上がった。ありえない。
普通に考えたら1960年代のディーゼル機関車なんて引退してるに決まってるじゃあないか。
もし走って居なければ時間と電車賃の無駄である。負け犬もいいところだ。そんなバカなことは止めよう。大人なんだし冷静になろうよ。
だが、信じろ。
走っていなくてもいい。
何が何だか分からないが、僕にできることはひとつ。ヤマロネネツに行くことだけだった。
信じろ。
ノヴィウレンゴイ
北極圏にほど近いこの土地では冬に晴れることは稀だ。
最低気温は-18、最高気温は-10。2時間以上待った。
寒さに耐えきれず撤退しかけたその時、遠くに光る何かが見える。
わずかな煌めきだった。
何光年も先の星みたいに。
でも僕は直感した。奴が来る。
信じれば夢は叶う。
いつだって、諦めそうになった時に来るんだ。そうだろ?
ЯЖДК
なぜこんな超旧式の機関車があるかというと、カラチャエボ以降はРЖДでなくЯЖДК ヤマロ ジェレズナダローギ カンパニヤ(ヤマロ鉄道会社)だからだ。
ヤマロ・ネネツ自治管区を石川県に例えたらЯЖДКはのと鉄道みたいなものである。
とはいえ、РЖДはТЭ10をどんどん廃車してるんだし、ТЭ10を融通し置き換えするのが普通では?という日本的常識は通用しないらしい。
ありがたいことに新型ТЭ10が導入されることは無くヤマロ鉄道でまだ走っている。
ヤマロ・ネネツ自治管区の産業
ヤマロネネツ自治管区は人口50万人で、天然ガスが重要産業だ。
Yamalo-Nenetsky Avtonomny Okrug is Russia’s most important source of natural gas, – wikipedia
ロシアで生産される天然ガスの90%がヤマロネネツで生産されている。
よってTE3タキを簡単に撮影できるのだ!
除雪車 ТЭ3 4230
冬に行けば除雪車も撮れるかもしれない。ヤマルの冬は長い。
除雪車を押す機関車はおおむねТЭМ3だが、中にはTE3が押すものもある。
こちらは ルガンツク 1963年製
撮影地について
TE3はカラチャエボ のЯЖДК車庫に在籍しているらしく、そこより西に走ってくる。
1枚目: カラチャエボ車両基地乱入。
2枚目: 雪原カットはカラチャエボの北西9kmくらいのところのカーブ。
3,4枚目: 除雪車はノヴィウレンゴイ駅から東へ3kmくらいのところ。北へ向かう線路のカーブ
なお1枚目のカラチャエボ車両基地は、引退し永遠の眠りについたTE3が9両止まっているので必見だ。そこに乱入しても除雪作業員はとれとれ!と、全く気にしていない様子だった。しかし事務所のもうちょっと偉い人はOXPANA呼ぶぞ!と言っていたので、退散した。(彼はそこまで怒っている様子でなく、カメラをあらためる事はなかった)
ノヴィウレンゴイおすすめポイント
貨物はТЭ3しか来ない。ハズレの新車がない。除雪車や、周囲の引込線や積込みの側線のためにはボンネットが長い機関車はくる。
昼間に最低1回はTE3が来る。多分。
貨物の本数が少ないので待ち時間が長い。海外鉄なら慣れているはずだ。
運が良ければ3回(2往路、1復路が僕が見た最大)
驚くほどチンタラ走っている(時速30km/h台では?)ので、車があば追っかけできると思う。どうやってcar hireするんだという感じだが。
路線バス
Расписание движения городских автобусов
ノヴィウレンゴイ市内、およびノヴィウレンゴイ〜カラチャエボ(13系統)などのバスの時刻表
ノヴィウレンゴイではバスがほぼ時間通り動いているので心配不要だ。
カラチャエボで泊まったほうが効率よく撮影できるはずだ。宿泊可能な場所を探せばドライブインみたいなホテルはあると思うが外国人が泊まれるか不明。(筆者未実施)
バス本数が少ない対策
バス13系統の運行頻度は約2時間おきで少ない。バスがちょうど行ってしまってもガッカリしないで欲しい。
いいタイミングでバスが来ないとき、ノヴィウレンゴイ周辺はロシアにしてはヒッチハイクが止りやすい。1本道なのも利点だろう。元々ロシアはアスタロージナ テロリズムとか、疑心暗鬼の国なのでヒッチハイクがしづらい。ブルガリアと比べると止めづらい(比べるな)が、何故かヤマロネネツは例外だ。田舎すぎて治安がいいのかな。
実は近いノヴィウレンゴイ
ノヴィウレンゴイは遠く感じるが、実は近い。
エカテリンブルクから片道36時間、往復3日。つまり3/7シベ鉄だ。
エカテリンブルクから往復3日+現地での3泊4日の撮影滞在が、シベリア鉄道乗ってる間にTE3と会うことが可能なのだ!!!
ノヴィウレンゴイへの列車
モスクワ発ノヴィウレンゴイ行きの速い列車(フィルメンヌィ) ヤマルがある。これは特急列車(フィルメンヌイ)なので値段が高い。
ウファ→ノヴィウレンゴイ、カザン→ノヴィウレンゴイなどの列車が安価でおすすめだ。
エカテリンブルクからノヴィウレンゴイが36時間程度だ。
4日に1回、フィルメンヌィ Обь がノヴォシビルスク〜ノヴィウレンゴイを走る。僕は帰りにこれに乗車した。東の方から来たい人はおすすめだ。
空港もあるので急いでいる人は空路が良いだろう。
動画
残念ながら動画はアイドリングと除雪シーンしかない。
帰ろうと思って機材片付けて歩き始めたあと走ってきたり(寒すぎてとても2時間以上待てない)、思ってもない瞬間に来てしまった。動画鉄やyoutuberとかのТЫ、ヤマロ・ネネツ自治管区に行って動画を取ってきてくださいお願いします。
除雪シーンは好意で乗せてもらった。
おわりに
実物を見た瞬間頭が壊れそうだった。もはや地球に存在する怪異だ。
2022年にこの機関車が主力として北極圏にほど近いヤマロネネツに走っている。
TE3は明日廃車になる気もするし、なんかあと5年持ちそうな気もする。考えれば考えるほどロシアはわからない。
もうこんな被写体は全地球を探しても無いだろう。(そうだよな?無いと言ってくれよ地球。)
参考: ロシア鉄ヲタブログ
TranaPhoto2007氏。この方やはり先に行っていた。彼に一度会ってみたいな。
なおこの中に「ヤムブルグ行きの列車は旅客と貨物の列車です。そこに入るには許可証を発行する必要があります。許可証は車に乗るときにすでに確認されています。Novy Urengoy、Nadym、Salekhardに合法的に入るには、パスを発行する必要があります。また、コロチャエヴォの駅に情報ボードが設置され、国境地帯の始まりを警告しています。」
との記述があるが、私が列車で行ったときは許可証は不要で一切問題なく行けた。昔はそうだったのだろう。
ロシアがそういうことを本気でやる時は絶対警察を動員してやって来るので、大丈夫だ。
ノヴィウレンゴイのライブカメラ
これで晴天が確実に
もうここまで細かく書いたらノヴィウレンゴイ激パだろ…
ロシアへの渡航は止めてください。