乗車日 2022年8月1日
キルギスの国際列車
キルギスの国際列車は3本ある。
- ビシュケク サマラ 週2
- ビシュケク ノボシビルスク 8日に1本
- ビシュケク カザン 週1
今回筆者はカラガンダに用事があったので、途中そこを通るカザン行に乗車した。
時刻表
Поезддердин расписаниеси :: Кыргыз темир жолу
поезд №305 Бишкек-Шу-Казань
ビシュケク 月曜出発 17:03(ビシュケク時間)発 14:03(モスクワ時間)
カザン 水曜 6:43到着
ビシュケクは+6、カザンはモスクワ時間と同じなので、所要時間は1日と16時間40分
運賃
国際列車の運賃は高い。
タジキスタンの国際列車 ドウシャンベ発タシケント行は5600円だったが、今回僕が乗ったビシュケク→カラガンダはさらに上回る8000円。
一晩で8000円も消費するのは凄いバカバカしいが、国際列車フルコンプのために課金した!
路線図
ビシュケク駅
キルギス国鉄の機関車TE33Aはカザフスタンのメルケまで牽引する。
TE33A 0179 2013年10月製, 最高速度120km/h, 138T, 3356KBT(KVT)
出発前、僕は写真をバシバシ撮っていた。運転士は好意的で TE33A のTはテプロヴォズ(機関車) Eはエレクトリック、(多分電気式ディーゼル機関車の事)、Aは何か説明してくれたがロシア語あんまわからないのと記憶力低いので忘れた。
運転士としゃべりつつ写真を撮っている間は警備員も何か言いづらいのか、何も言ってこなかった。
だがそこを離れて客車を撮っていると、警備員は「禁止」といってきた。キルギス人やっぱウザ。特に警備員。
車掌は、ツーリストだから撮りたいんやろ みたいな感じで警備員に言っていたが、それでも警備員は「ニザ」(Ne Zaprishino =禁止)とか言ってた。ウザ。
小さいレーニン像
ビシュケク駅の一角にはレーニン像がある。こんな小さいのは逆に珍しいと思う。二之宮金次郎レベルかよ。
かわいいレーニンに見守られながらとりあえず列車に乗る。
車両は昔ながらのプラツカルトで非冷房。
それなのに料金は通常の約三倍(国際列車は中央アジア-ロシアらへんでは一般的国内列車の約3倍の値段になっている。)
今見返すと、こんな客車に8000円払って、俺馬鹿だったのか?と思う。
キルギス国鉄はソ連から独立後、客車を1度も購入していない。 –ソース
シーツ、リネンはお花の模様があり、かわいくてなんだか素朴だ。
編成について
編成はしょぼい。
9両編成で食堂車なし。長さはまぁまぁあるが…
タジク国鉄でも食堂車はあったのに… というか8000円も払わせて食堂車ないは非冷房だわ完全に客をナメてるレベルの低い仕様だが、
その殿様っぷりも面白さの一つだ!(ほんとか!?)
サボ
サボはかっこいい。
左は国鉄のロゴだ。右はアジアっぽい模様だろうか
国鉄のマーク
中央アジアの古いワゴンには、かっこいい鉄製のマークがある。最近できた車両はシールに簡易化されている。
ウズベクなどでも見た。
大体この手のマークは必ず鳥がモチーフになっているのは何故だ。
出発
定刻通り17:03に出発
1時間51分後にキルギス側国境審査の駅、カインディに到着。
国境にて
出国審査 カインディ キルギス
70分停車時間があり、出国審査をする。
以前、国力やGDPが高いと出入国マシン(持ち運びできるアタッシュケース内蔵型コンピューター)があると言ったが、それは勘違いだった。
キルギスは所得は別に高くないのに、当たり前のようにポータブル出入国マシンを持っていた。
入国審査 チャリドヴァル カザフスタン
カザフの入国審査。90分の停車時間がある。
うろ覚えだが、ここで僕はビザを持っていなかった。カザフスタンはビザフリーだから当然なのだが、、
「ビザは?」
俺「biz viza(無ビザ)」
「何でだ?(パチムー)」
俺「法律… (ザコン)」
なんで俺がカザフスタンの法律について言及しなきゃいけないんだ。僕より君が詳しくなっててくれ。
とはいえ、陸路国境でこれは珍しい質問ではない。どの国民がビザなしか完全に把握している職員は居ないし(“少ない”のではなく”居ない”と思われる)、
この国際列車に日本人が乗っているケースはほぼ皆無だろう。
メルケ MERKE駅
ここは既にカザフスタンだが牽引機はカザフの機関車ではなく出発時と同じキルギスの機関車TE33Aが先頭についたままだった。
カザフ領内もキルギスのディーゼル機関車が走っている。
この駅で、反対方向に反転する。また、電化区間になり、カザフの幹線を通る。
カザフ国内を牽引するのはKZ4AT 0033という新し機関車だった。
メルケ駅は幹線が通りだけでこれといって何もない田舎の途中駅だが、駅舎内はかっこよかった。
シュ
シュ駅で、アルマトイ発カザン行のカザフ国鉄の国際列車と併結する。
僕はそもそも知らなかったので客車でのんびりし、併結シーンは見ていない。
この夏の時期、旅客が多く、普通のプラツカルトの3倍の値段がするこの列車にも、カザフ国内利用の人が大量に乗ってきた。
来たおばさんと兄ちゃんはアルマトイから来たとの事。
アルマトイ→カラガンダやアルマトイ→ヌルスルタンの直通の切符が売り切れていたため、シュまで乗合タクシーかバスで来て、値段が高いから最後まで関が残っている当列車に来たと思われる(聞いたわけではない)
寝台タルゴと同じ値段で、ソ連時代のプラツカルト、食堂車なし、冷房無し、所要時間は長いこの列車に乗らされるのは可哀そうな話だ。
風邪
たぶんこのシュから乗ってきた兄ちゃん、風邪かコビッドを持っていたらしい。多分。
僕は見てて、彼は何となく体調悪そうだなくらいに思って、ベズマスクで堂々としてたら普通にカラガンダで体調一気に悪くなった。
その兄ちゃんはナルトが好きなようで、僕が日本人だと知ると、「キシモト」と言っていた。
この頃のカザフスタンは全体的に咳をしている人が多かった気がする。2022年5月に来た時は全くなかったのでパンデミックになっているのだろう。
カラガンダ到着
カラガンダ到着。
カラガンダからも、他の列車が売り切れてこの値段3倍列車に乗らざるを得なかった大勢の客がドカスカ乗車してきた。
カザフ国鉄+キルギス国鉄客車の混成
出発時は9両で寂しい編成だったが、アルマトイ発が6両くっついて堂々とした15両編成になった。
KZ4AT 0033 ALSTOM 2021年製 86トン 4800kBT 最高速度200KM/h
200キロも出るのか、、TE33とはスペックがレべチだ。
おまけ:中央アジア国際列車フルコンプの旅
筆者は、
- ドウシャンベ – タシケント
- タシケント – アルマトイ
- ビシュケク – カラガンダ – (カザン)
の3つに乗ったので、
- タジキスタン – ウズベキスタン
- ウズベキスタン – カザフスタン
- カザフスタン – キルギス
の列車で跨げる中央アジア国家間跨ぐ
全てに乗ることが出来た!
※トルキスタンからカザフスタンに行く国際列車もあるが、それは乗ってない。
※国家間を跨ぐのをコンプしただけで、各国鉄をコンプしてはいない。ウズベキスタン国鉄運営の タシケント→ロシアのサマラは未乗車なのでいつか乗りたい。
中央アジア国際寝台列車ランキング
3つ乗ったので、最後に評価しようと思う。
- 快適度
- 速達性
- 値段
- コスパ(満足度と値段の比率)
- ソ連感
で評価する。
1位: Kazakhstan Railway 寝台タルゴ
他社をぶっちぎって堂々の一位だ。総合得点20点
- 快適度 5
- 速達性 5
- 値段 4
- コスパ(満足度と値段の比率) 5
- ソ連感 1
合計得点20点
快適度、速達性、コスパは言う必要すらない。
値段は4となっているが、これは座席車があるため安い席がある。
食堂車有、冷房有、クペー 有、リュクス有、座席有
無いものが無い。
2位 キルギス国鉄 Bishkek Kazan
当記事で紹介したキルギス国鉄は残念ながら最下位、、は?2位なんだけど。
食堂車なし、冷房なし、プラツあり、クペーあり
- 快適度 2
- 速達性 3.5
- 値段 0
- コスパ(満足度と値段の比率) 1
- ソ連感 5
合計 11.5点
快適さは非冷房プラツなんてこんなもんなので2 (レストラン無いのはクソですね)、
速達性は、カザフ国鉄内が速いので3.5(キルギスでは遅い)
値段は最悪レベルで高い。プラツカルト8000円
そしてなんとソ連感が5で2位に押し上げてしまった!!!
僕個人的な総評価ではキルギスが最下位である。俺はキルギスを最下位にしたかったんだ(それってあなたの感想ですよね)
2位 最下位Tajikistan Railway ドウシャンベ→タシケント
食堂車有(メニューは一種類)、冷房有、プラツカルト有、クペー有
- 快適度 3.5
- 速達性 0
- 値段 1
- コスパ(満足度と値段の比率) 2.5
- ソ連感 3
合計 10点
快適度は冷房があるので4にしたいところだが、何故かタジク国内で冷房が付かず、3にしたい。しかしながら値段が高すぎて客が少ないのは快適なので3にするほどでもないので迷って+0.5
速達性は、タクシー+バスなら10時間のところを当列車は19時間かかる論外レベルなので1すらつけられず。
コスパは、ぶっちゃけ5000円は高すぎるが、実はキルギスよりは安いので迷って2.5
ソ連感3は、実は新造客車のため、ソ連スタイルのプラツカルトではあるものの、奇麗ではある。
ただし出国審査は絶望の賄賂なので、ご注意ください。
賄賂なんてやってるバチが当たって最下位になったんだな。※国境軍と鉄道は別物です。
残念にも最下位になったが、タジキスタンはある意味一番おもしろい国際列車だった。
まとめ
キルギス Bishkek Kazanの当記事列車に関しては、値段と満足度 cost quality ratio (コスパ)が論外なので、乗っても仕方ないが、
ソ連感を味わいたい人にはお勧めできる。何しろキルギス鉄道はソ連解体以降、1度も新ワゴンを購入していないのだ。(本文参照)
旅行者として1度乗るくらいなら良いんじゃないでしょうか。
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