【ロシア】ハバロフスクの知られざるガントレット鉄道

 

どうもセルゲイソ連スキーです。

ガントレットという言葉をご存知ですか?

 

 

 

 

1.ガントレットとは

単複線(たんふくせん)とは、単線分よりやや広い用地に複線の線路を重なるようにしてはめ込んだものである。

複線区間であるが、両線路の片方が互いに跨るので、すれ違いはできない。

単複線 -wikipedia

 

こういう機構の線路、日本にはありません。昔は名古屋にあったらしいです。

欧米ではそれなりに多いらしく、英語版wikipediaの記事は異様に充実しています。

Gauntlet track -wikipedia(en)

 

 

 

・知るに至った経緯

以前私の友人の激マニアが「ガントレットォオ!」「Gauntlet trackと発音しながら

居酒屋の席でスマホの画面を表示させ、力強く語っており、私は、ヨーロッパにそういうのがあるんだなあ。ふーん。程度聞き流しました。

その情報は、私の記憶の引き出しのインデックスの後半の方へ、

FIFO方式によって押しやられていきました。

 

 

 

2.ハバロフスクのガントレット鉄道

2017年2月22日のことです。

私はハバロフスクの町をアテもなくうろつき、暇つぶしにとりあえず路面電車に乗っていました。

そして突如目の前に現れた線路交差区間。

 

遅れること数瞬全脳細胞千数百億個のうちのどこか、以前居酒屋で友人が力説していた時の記憶が、神経シナプスの結合により呼び起されました。

 

「これガントレットじゃん」

 

場所はここです。

リカ・クラスナヤ・レチカという川の鉄橋部分です。

橋を架けようとした際に地形的な制約があり、こんな変な線路が生まれたと思われます。

 

電車がやってきました。

 

向こうからやってきた電車は左寄りの線路しか使っていません。

 

 

かっこいい。

 

車両がかっこいいですね。ソ連感あふれる路面電車で、貫禄があります。

 

ひょっとしてこれはチェコのタトラカーの親ともいえる、PCCカーパクリ車両?

 

調べたところ、РВЗ-6(アールヴィーズィー)という車両で、

1960年から1987年まで6008両が製造されたとのこと。

 

東欧を走るタトラカーよりも一回り太っちょで迫力があります。

横幅は2596mmで、タトラT1と比べてもやっぱりでかいようです。(タトラT1は横幅2200mm)

 

В основном эти усовершенствования заимствовались у зарубежных образцов трамвайной техники (в первую очередь вагонов PCC) -RVZ-6 Wikipedia(ru)

Basically, these improvements were borrowed from foreign samples of tram vehicles (primarily PCC cars )  -英語にgoogle翻訳

第一印象のPCCのパクりかな、というのは概ね正解でPCCカーから技術を継承したようです。

 

 

別の広告ラッピング車両とすれ違います。

こちらはスカイブルーと白でかわいい感じです。

 

アリスちゃんが、先程のガントレット区間へ侵入していきます。その間に私は勝手にあだ名をつけます。

 

ハバロフスク市電は線路幅が1524mmで体感でかく見えます。

 

KTM-5

タトラT5シリーズによく似た車両ですが、wikipediaによるとやはり技術を継承した車両とのこと。

 

 

……….

 

マジで寒い。

正確な温度は測っていなかったので不明ですが、2月のハバロフスクの平均最高気温は-10度だそう。意味不明です。

 

撮影開始からたった30分しか経過してませんが寒くて死にそうなので、上の写真のグリーン先生に飛るため停留所までダッシュ。感覚がマヒしかけた僕の指はただちに治療を求めています。

 

すっごいデコボコです。私は以前、海辺にある鉄板で同様の事をしたので、わかるのですが、

このタイプのデコボコは、サビが浮くだけ浮くのを放っておいてサビだらけになってから、素人がトンカチで錆を落として、その上から素人が塗装した時になるタイプのデコボコです。そんなテキトーさが愛おしい。

 

KTM-5の車内はこんな感じ。

 

………

 

新式車両も導入されています。ハバロフスクの名誉を守るために一応。

71-623という車両で、ハバロフスクには合計9編成導入されているとのこと

 

 

3.ガントレット鉄道区間への行き方

ハバロフスク中央駅からスタートです。

 

「вокзал」は「駅」という意味です。ロシア国鉄の駅はどの駅でも正面に「駅」としか書かない、情報を与えないスタイルで貫き通しています。ロシアは外国に対してはもちろん国民にさえ情報を与える気がありません。ジョークです。

 

 

目的地のガントレット区間を目指します。

 

トラム乗り場は、駅前の大通りを挟んですぐにあります。駅前地下道をくぐれば目の前にあります。

 

トラム乗り場からNo.1の路線に乗ります。ハバロフスク中央駅から路面電車で1時間ほど乗車します。

運よく古い車両に当たればガタガタ揺れます。50年前を肌で体感できます。

 

路線図です。そんなに複雑ではないので迷うことは無いでしょう。

終点のひとつ前 речка красная (レチカ・クラスナヤ)

または終点 химфармзвод (ヒムファルムザボド)

で下車、どちらからも徒歩1分ほどで行けます。

 

ロシア語でいきなり駅名を言われても、大概聞き取れないので、googleのオフラインマップを取得しておき、gpsを見ながら行った方が楽です。心配せずに済むのでおすすめです。

 

 

4.ハバロフスクまでの空路

 

ハバロフスクまでは、

  1. 成田からハバロフスクまで飛行機
  2. 成田からウラジオストクまで飛行機、そのあとシベリア鉄道
  3. 【裏技】T-Way航空(韓国のLCC)で成田から仁川へ、S7航空(シベリア航空)で仁川からウラジオストクへ、そのあとシベリア鉄道 (片道でも安い)

 

1. ハバロフスクまで飛行機

ハバロフスクまで飛行機で往復$706。流石に高いです。

 

 

2.ウラジオストクまで飛行機

 

ウラジオストクまで直行は往復$400。これなら払えるくらいですね。

 

ハバロフスクからウラジオストクまでのシベリア鉄道は、座席なら片道最安731ルーブル(1200円程度)で行けます。それはもうアホみたいに安いです。

ロシア国鉄公式サイトで事前に値段とダイヤを調べておくと安心です。

所要時間は11.5時間~14時間かかるので気合を入れて乗ってください。

 

 

3.【裏技】T-way航空+S7航空+シベリア鉄道

ウラジオストクまで片道で行きたい、かつ安く済ませたい人はこれが良いと思います。

T-way航空は、韓国のLCCで、片道でも安いです。

S7航空は、「シベリア航空」という航空会社で、最近はそんなに遅れていないようです。僕が乗った時は4時間遅れました。

 

 

5.ビザを取ってください

これからロシアに行こうとする人なら今更釈迦に説法ですが、

ロシアに行く際はビザ取ってください。

 

6.おわりに

 

ハバロフスクには、西欧では考えられない信じられないレベルのボロいトラムが走っていて、

それを見るためだけでもハバロフスクへ行く価値はあると思います。共産主義の非効率に心から感謝を申し上げます。

 

流石にこの路面電車だけ見に行くことは無いと思いますが、

シベリア鉄道での途中下車の際にはぜひ、ハバロフスクをどうぞ。

 

 

 

 

撮影:2017.02.22

 

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