【静岡】桜橋 架け替えで消えゆく昭和6年製の鉄橋

 

 

 

 

 

どうもNSZ山本です。

今回は静岡県清水区にある、昭和6年のおじいちゃん鉄橋です。

彼の名は桜橋と言います。

 

桜橋ってどこ

 

桜橋は静岡県静岡市清水区にあります。

県道197号線が東海道本線と静岡鉄道を跨ぐ橋です。

番地は、桜橋町、淡島町、入江岡町の3つの番地の中間にあたる場所です。イグアスみたいに。

 

 

2019年夏に架け替え開始確定

 

 

こちらの桜橋、残念ながら2019年夏に架け替え予定となっています。

これは2019年夏から2024年の6年間にわたって行われる割と息の長い工事です。

 

 

『平成31年度より、老朽化した『桜橋』を架け替える工事を行います。』

『I期施工 平成31年度夏~平成33年度夏 予定』

『I期施工 平成33年度夏~平成36年度夏 予定』

 

平成31年夏ですら存在しないのに、平成36年夏はもはや一体。

それはそれとして、橋の架け替えには結構時間が掛かりますね。

 

 

『桜橋を西側(静岡側)と東側(清水側)に2分割して橋の架け替え工事を進めていきます。』

 

珍しい工法のよう。

この桜橋の場合は仮橋を作って工事期間中迂回させるのは、周囲の住宅の多さから不可能でしょう。

左右の車線を分けて工事をするという方法をとるようです。

 

 

錦帯橋のような観光化された橋なんかは保存されたりするんですが、

日常用のこういった橋は残念ながら保存されることはありません。

年月が導く老朽化は、耐久性に問題を生じさせます。

架け替えるしか道はないでしょう。

 

旧き橋が消えてしまえばその姿を2度と拝むことは叶いません。

新橋に変更してしまえば、かつての別の橋があったことを覚えている人がいたとしても正確に描写することは出来ないでしょう。

 

もし記録しいとしたら。

記録せねば。今。

 

 

桜橋を見てきた

 

というわけで消えゆく昭和1桁の橋をアカシックレコードに刻むべく撮影してきました。

 

何の変哲もない橋

上の写真では、ぱっと見橋なのかわからないと思います。

桜橋は確かに普通に歩いていたら通り過ぎてしまうような何の変哲もない「只の橋」です。

 

 

よく見れば、最近作られたような橋とは様子が違います。

コンクリートの中の空白に鉄を通すこの欄干は特徴的です。

昭和初期の流行でしょうか。

 

橋の下から見てみます。

静鉄のホームから見ることが出来ます

 

….

 

この日は残念ながら雨だったのですが、

テンション上がり過ぎて気になりませんでした。

彼がここに存在してから幾度雨の日があったことか。

雨も日常のひとつです。

 

 

 

 

昭和6年11月竣工。

1931年

88歳です

 

東海道線のこの静岡ー清水の区間が出来たのは1889年(明22) 静岡鉄道の開通は1908年です。その後南北の移動の必要が出てきたのでしょう。

 

昭和初期の構造物でも未だ日常の一部です。

 

 

リベットがイケメンすぎて泣きそう

この桜橋の特徴的なところのもうひとつはここ。

美しく並んだ10本の橋脚。

目に焼き付けておきたいリベット。

手前の雨に晒されやすい部分は特にさびてますね。

 

近年の橋では橋脚は当然鉄筋コンクリート。というか橋梁の部分も鉄筋コンクリートで作る傾向があります。

こんな橋が生み出されることはほぼ二度と来ないのではないでしょうか。

 

 

これまで数えることも出来ないほど列車を見てきた橋。

彼はブルートレインも、旧客も見てきました。

蒸気機関車の煙さえも。

 

 

 

 

 

航空写真

航空写真がこの街の周囲がかつてどんな感じだったか教えてくれます。

整理番号 B24B コース番号 C1 写真番号 14 撮影年月日 1939/10/02(昭14) 撮影地域 静岡

 

1939年の空中写真です。桜橋があるこの場所は清水市街の西の外れです。

西はほとんど耕作地だったことがわかります。現在の宅地だらけの風景とは全く違いますね。

1939年時点で桜橋のある県道197号線は、既に現在と同じ幅が広くまっすぐの道路になっていた事も分かります。

戦前の道路、しかも街外れにしてはとんでもなく幅広いですね。

 

….

 

静岡・清水空襲 – 静岡平和資料センター

清水にも空襲があったようですが、工場がある場所すなわち海岸に近い場所が狙われとのこと。

一方桜橋の周りは上の写真のように田んぼ(か畑)でした。

戦争を生き延びたのはこの事が原因のひとつかもしれません。

 

 

整理番号 CB594YZ コース番号 A27A 写真番号 25 撮影年月日 1959/08/28(昭34) 撮影地域 静岡(中央道)

地図・空中写真 閲覧サービス

 

 

端っこ部分がチャーミング

 

戦前からある桜橋。

生活道路の一部にしてはかなり貫禄があり凝った作りの橋です。

橋の隅の方にある背の低い柵です。古いお寺にあるみたいですね。

錆が石へ流れてます。

 

橋台の四隅の部分は飛び出したスペースになってます。

 

この裏側に、線路沿いの1段低い道路へ行く階段があります。

その階段がこちら

コケが半端ないです。

階段というより石段という表現がしっくりきます。

風格がもはや神社の階段レベル。

 

 

老朽化

 

88年の歳月が風化をもたらしました。

酸によるコンクリートの腐食が起きています。

橋台の柵の部分が一部欠損してますね。

 

 

 

 

 

 

四隅の橋台部分の、桜橋駅に一番近い側の欄干は、完全に欠損してフェンスが立っています。

架け替えも仕方ないですかね。

….

 

 

 

行き方

 

桜橋に行くことは簡単です。

 

桜橋駅は新静岡駅から静岡鉄道で12駅、19分で着きます。

 

駅からすぐどころか、

新清水行ホームから直接見る事ができます。

駅改札から橋の上に立つまでも徒歩1分以下です。

 

….

今回私はたまたま行ったら工事の案内があったので、撮影を敢行しただけなのですが、

見た甲斐はありました。

静岡にお住まい、また静岡に用事があってもしも暇だったら、

老衰を迎えようとしているおじいちゃん鉄橋に会いに行ってあげてください。

 

 

さよなら桜橋。ばいばい!

 

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