実施:2020.03.07〜
どうして病原菌全盛期のこんな時期に国境リスクを冒してしまうのだろう。
Impossible Borderシリーズ2020
前回:
今回はジョージアからトルコの陸路国境突破をしてみた。このルート自体は特に難易度は高くないのだが今回は直通バスではなくバツミからカルスまで移動する。個人的な教義で出来るだけ列車に乗ろうというのがあるがトルコジョージア間は直通列車が無いのでこうなった。
加えて長時間のバスは体力的にきつい。長距離バスは心地よい揺れではない。僕は実質高齢者である。ネアンデルタール人ならそろそろ死んでも良い頃合いだろうし長時間バスに乗ったら死ぬ。というわけで区間バスを乗り継ぎつつ行くことにする。そういや日本のテレビ番組にそんなのありましたね。
赤線のようにトルコの東端をちょこまかと動くだけだが最低2日はかかる。
バツミ→Sarpi→ ホパ
ジョージア起点の街はバツミだ。そこから10km南のSarpiという国境を目指す。
バツミからはどこかネズミランド感がするバスに乗車する。ただの路線バスにしてはファンシーすぎる外観だ。
バツミ市内16番バスあるいは17番バスで国境のSarpiまで行ける。料金はカードで払いトビリシのメトロバスカードが共通で使える。なんと文明度の高いことか。
0.3ラリ=15円。安すぎなので払わない理由が見当たらない。ただし地元民はタダ乗りが多く検札は一度も見かけていない。
40分で到着。
グルジア側国境には多くの飲食店がある。周囲にはアンカラ→バクーの長距離バスあるいはアンカラ→トビリシなど多くの大型バスが休憩していた。トルコ側には飲食店は一切なく両替所も無い。物価が違いすぎる。グルジアで食べた方が安いからだろう。
出国審査・入国
グルジアの出国
出国は2020.03.07。この時点でツイッター情報によると日本人がアゼルバイジャンからグルジアに入ろうとしたら拒否されたとか、アルメニアからグルジアに入ろうとしたら拒否されたとか報告があった。出たらもうグルジアに戻れない可能性がある。さらばグルジア。僕を病原菌扱いし声をかけるうるさい国民で正直萎えました。VL10は忘れません。さようなら。
グルジア出国はアジア人が消えてくれるだけなので即通過。向こうとしても願ったり叶ったりだろう。出国は大抵の国はゆるい。
トルコの入国審査
次にあるのはトルコのサーモカメラである。トルコは日本人に対する封鎖は行っていないが 3月7日2020の時点では体調不良の場合報告するよう義務づけている。とはいえここで高熱が発覚したら連行される可能性はある。
ついに購入
グルジアで120円で買えた。 pic.twitter.com/eD0dPmwu1s— 石器時代 (@NsaYamamoto) March 7, 2020
しかし先手を打っていた。バツミの薬局 PSP で体温計を購入していた。これによると36.9度。問題あるまい。国境通過時に一々体温を確認せねばならない時代が来るとは夢にも思っていなかった。体温計は2020年国境突破時必須アイテムと言って良いだろう。
事前に計測したこともありサーモカメラを突破。
トルコの入国審査官はページをくまなくめくる。中国、イタリア、日本、イランの渡航歴が無いか調べているのだろう。自分は2019年8月以来日本には戻っていないし、中国には一度も行ったことない。誤解されそうな中華民国の渡航は2014年と2015年だ。ついさっきまでグルジア、その前はアルメニアにいた証拠は残っている。ケチのつけようのない渡航歴である。
審査官よ、手も足も出なかろう。わっはっは。
首尾よく突破
Sarp → Hopa
トルコの建物を出ると、先述した通り両替所も飲食店も一切ない。マルシュトカだけはそこに留まっている。バスの運転士は親切なことにグルジア通貨での支払い、釣銭はトルコリラで返してくれた。
ダイヤはあるのかわからないが客が集まってきたら出発した。
廻りを見ているとどうやらグルジア人がトルコに出稼ぎをしているのではないかという人をちらほら見かける。賃金の差が大きい。
どう見てもノラにしか見えない地名、Hopaへは30分程度で着く。
Hopa → Ardahan
ホパの街の散策を1.5時間程度した後、11:45に切符売り場に行ったところアルダハン行12:00のバスがあるという。運が良かった。時刻表は張り出されていないので不明だがバスが走るのは山岳区間ですれ違う一般自動車すら少ない道だ。なのでひょっとしたらこれ1本しかないかもしれない。
このバスはホパを出ると Artvin, Savsat を経由しArdahanまで向かうが、Savsatでバスからミニバスに乗り換える。
値段は70トルコリラ。
バスは山岳地帯を突っ走っていく。海から内陸へ走っているのに出発からたった10kmほどトンネルを抜けると川がバスと同じ方向に流れる。トンネルは分水嶺だったらしい。 Cuhala Stream という川は東に向かった後北へ折れてグルジア・バツミ方面へ流れていくらしい。
渡ってみたくなるようなつり橋がいくつもある。崩壊しかけている吊橋もあった。
アタチュルクの像
休憩でArvtin に停車。
Arvtin には山の上にアタチュルクの像がある。今回は通過するだけだが興味がある人は行ってみてはいかがか。なんであんなにアクセスの悪い所に作ったんだ。
この町はダムのすぐにある。周囲の道はアップダウンが激しい。Artvinを抜けるとダムの高さを克服するためにバスはイロハ坂みたいな所を登っていく。160kmの山岳道、休憩を2回挟み4時間で到着する。
アルダハン
アルダハンにも見どころがあり城壁がある。ただ街が小さいので街の見物と総合しても1.5時間で見終わる。
宿はいかにもボロそうなOtelが何箇所かあるので1泊50TLで宿泊できた。現地語でしか表示してないホテルにアタックするのが安く済ますコツである。
アルダハン→Kars
バスターミナルによるとカルス行は朝9時のみと言っていた。実はマルシュが他の時間にあるかもしれないが早く行きたかったので乗車。料金は車内で支払い20TL
体調が思わしくないのと先述した城を見てみたかったのでアルダハンで2泊したのちKarsに向かった。Karsからはアンカラ行きの夜行列車に乗る。
カルス
カルスに到着。Karsバスターミナルは街から離れた東の変な場所にある。
こんな東の果の荒野しかなさそうな街だが見どころはある。カルスには城と東へ45km走るとアルメニア教会があるので観光に良い。
カルス→アンカラ 1000km 24時間 寝台たった1600円 安いぞTCDD
駅で撮影してても怒られない!
そもそもホームに警官がいない!
車掌がドアの前で待ち構えてない!
客が無駄に早く駅で待ってないから駅が空いてる!何なんだここ pic.twitter.com/Xk7DDX7qxH
— 石器時代 (@NsaYamamoto) March 11, 2020
ここからはTCDDに乗車。さよならカルス。
値段
- Batumi→ Sapi 0.3ラリ 15円 (交通カードのみ現金無し)
- Sarp→ Hopa 7 リラ 140円
- Hopa→ Ardahan 70リラ 1400円
- Ardahan → Kars 20 リラ 400円
2000円で行けるが、単にアンカラへ行きたいだけならバツミかトビリシの国際バスでアンカラまで行ってしまった方が良いだろう。ただしトビリシ→アンカラは1300km以上あり大型バスとはいっても相当の疲労を覚悟する必要がある。
この乗り換えルートだとカルスからアンカラは鉄道に乗れて楽しい、乗り換えが多く疲れを抜きつつ移動できるが、Kars,Ardahanで宿泊は確定なので結局カネはかかる。安い所なら1泊1000円あれば泊まれる。
トビリシ→バツミがプラツカルテ最安7ラリ 300円、カルス→アンカラが座席で最安58TL1100円。これを含めてもトビリシからアンカラまで3500円 +ホテル2泊2000として最安5500円で行ける。物見遊山しながら移動してこの値段ならやすいと思う。
上記は最安の場合で、GRのプラツカルテは相当ボロいので人権を確保したければ1100円の1等寝台、TCDDは24時間かかり遅延することもあるので寝台1700円をお勧めする。
おわり!
トルコ地図出典
https://www.freemap.jp/itemFreeDlPage.php?b=mideast&s=turkey