ハサン 行ってみた Hasan Хасан

 

どうもセルゲイ=ソ連スキーです。

Хасанという地名は、一部の界隈では有名な駅名かもしれません。

 

 

それはロシア側で最も北朝鮮に近い駅です。ピョンヤン行の列車はここハサンを通って、川を渡りトゥマンガン、そして平壌に向かいます。

このハサン駅、モスクワ発のlong distance trainだけでなく、ウスリスクから普通列車-subarban trainも出ています。

 

ウスリスクからバスでも普通に出ているようで、旅行中に話したロシア人でバスでこれからハサンに行くなんて人もいました。

一応ロシア国内なので、ビザを持っていさえすれば行っても問題ないはずです。

ですがあまりにも場所が場所なので、行こうと思う人は少ないと思います。

 

今回、私はウスリスクに滞在する機会がありました。

ハサン普通列車往復を敢行してみました。

今回はそのレポートです。

果たしてNK国に拉致されず(んなわけあるかい)、ロシア警察に拘束されず(1%くらい可能性はある)生きて戻ることはできるのか。

 

時刻表

時刻はこんな感じ。

  • ウスリースク15:52 → ハサン22:37 火木休
  • ハサン1:06 →ウスリースク 8:26 水金休

 

ハサン行は列車番号6706、リザノーフカで6708に代わります。

返しは6707→リザノーフカから6705

 

樺太庁陸地測量部 – BOOTH

いつも大変お世話になっている樺太庁陸地測量部さんのダイヤを参考にしています。本当にありがとうございます。

RZD公式でも見られます。

Passengers

 

 

ウスリスク

8/30、ハサン往復敢行すべくウスリースクにやってきました。

実はこの日朝11時に駅に行って切符を買おうとしたら「知らない」とか、15時に来いと言われて、

ひょっとして運休するんじゃないかと思いましたが大丈夫でした。

 

15時に来て切符を買おうとしたところ、端末が突然バグり、発券できなくなりました。某国の攻撃か笑

普通列車なので切符は乗り込んでから車内で買えます。

 

15:22に入線してきました。

 

ウスリスク発ハサン行

 

機関車

 

機関車1両に客1両ってどうしようもない僻地に行く感が溢れていてわくわくしませんか?個人的にポイント高いです。

 

ТЭП70 — Википедия

TEP70は1973年から製造され始め、ソ連崩壊後、2006年まで製造されました。

なんてデザインを更新しない国だ。素晴らしい。

 

2005年製。

末期の製造で21世紀生まれです。

 

車内は普通。

ひょっとして北朝鮮にいく人が乗っていないかと思いましたが、これはハサン行でその先に接続する列車はないので、北朝鮮人らしき人は乗っていませんでした。

普通にみんなロシア人のようです。

 

モスクワ発ピョンヤン直通の列車にはNK国民が乗っているんでしょう。

 

 

Уссурийскから1駅までトランスシベリアンレールを走行します。

バラノフスキー駅 Барановский で分岐し、架線柱が消えます。

 

 

距離は260km、時間は6時間45分

速度は平均38.5km/h

のんびり走っていきます。

 

この路線の見どころは対岸にウラジオストックの街並みが見えることです。

ウラジオストックのゴールデンゲートブリッジがうっすら見えます。

 

 

 

ウラジオストクの街並みが見えること以外では見どころはありません。

ハサンへ向かう途中は本当に何もありません。ガチの原野です。

 

河川改修など全くしていない、自然そのものの川が見れます。理科の教科書か。

 

途中の駅はプレハブのような簡素なものです。

前日に大雨が降って線路に問題が生じたのか保線作業員が多くいました。列車は一部徐行して若干遅れました。

 

線形が悪くぐねぐね曲がっています。そこをのんびり走ります。

カーブの先にいい感じで鉄橋が見えます。

 

貨物輸送は多いです。1駅ごとにすれ違うくらいの頻度です。一部は走ってないで停車しているだけの車かもしれません。

 

途中までは起きて写真を撮っていました。

徐々に眠くなり、22時ごろからぶっ倒れて爆睡しました。

 

気づくとハサンに到着。

 

 

ハサン

車掌にたたき起こされます。

で、列車を降りると。

※ここから先は写真は無いので絵でお送りします。

 

降りるとハサン駅のRZD駅員の女性になんだかごちゃごちゃ言われた。

当然予想していたことなんで、大して慌てずに居る。

 

付いてくるよう指示されたの後ろについてで駅舎内へ向かう。

ここで多少のロシア語(ほぼできないけど)と翻訳アプリで趣旨を説明しておきます。

トレインブログを書いている。北朝鮮に行くわけではない。私はテロリストではない。

 

しかし女性によると、どうやら只のパスポートではなく、

他の書類が必要らしい。

 

あれ。まじかこれ。予想していたのと若干違うぞおい。立ち入り禁止かおい。

 

さらに

なんだか警察ではなく、軍隊を呼ぶらしい。

 

まんじ?

 

RZD駅員女性はわちゃわちゃ言っている。

カメラの中身は軍人が来たら確認すると言っている。

 

 

2人の警備員、охранаは全くやる事がない。

この駅には殆どというか、上下1本ずつを除いて列車は来ない。こんな最高な仕事があるかと僕は思う。

警備員Aは丸顔で年取っている、警備員Bは細長い顔で中年だ。

RZDの女性と比べると警備員2名は「どうでもええわ」みたいな雰囲気だ。

 

そんなわけで2人はずっとyoutubeで何かのドラマを見ている。

 

軍人(にこにこ)

しばらく待っていると、2人組の軍人がやってきた。

いよいよ来たか。

拘束かこれは。必死の説明をかますしかない。と身構えた。

 

軍人の片方はなぜか笑顔だ。

片方は特に表情はない。

ニコニコだ。なぜだ。

にこにこの軍人は英語が話せて、僕に以下の情報を伝えた。

 

you need a special pass.

 

ここに無許可で入ったらarrest you ということらしい。基本的には。

 

ウシュリスクに戻るなら別に何もしないと言っている。僕はそりゃあもちろんウスリスクに戻りますと言った。

駅の中に居ればいいらしい。どうせあと2時間だ。

 

僕はどうしたら合法的にハサンへ入れるのか、軍人に聞いてみた。

ウラジオストクにある沿海州国境軍中央事務所で申請後1から2週間でそのスペシャルパスが出るらしい。

(僕もあわてていたので事務所の場所を覚えていない。申し訳ない。)

 

最後に

軍人はこう言った。

‘taking photo is not good idea.’

 

もう一度言うが、軍人はさっぱり敵意がなくなぜかニコニコだ。

 

RZD駅員の女性はカメラのことをチェックしないのか軍人に聞いているようだ。

 

軍人のイケメンは、

「えw見ないよw」みたいな感じでゆるい感じだ。ゆる軍だ。

 

実際見ないらしい。

 

良かった。冷静に考えたら走ってる間の鉄橋とか撮影してたんで見られたら心証が悪いところだった。

(つーか本当に見られた場合どうするつもりだったん僕)

 

 

‘i will sleep’

 

おやすみポーズのジェスチャーをしながらそう言い残し、2人組の軍人は去っていった。

 

目こぼしで僕は居ていいことになったらしい。

軍人が緩すぎて拍子抜けだ。しかし助かった。

 

軍人はおそらく国境警備隊か国境審査の人なんだと思う。

ハサンは小さな村すぎて夜間には出動する警察がいないのだろうか。それともこの村の管轄は国境警備の軍隊なのか、真相は分からない。

 

そして

僕のほか客の誰一人いない、警備員が2人だけの、がらんどうの待合室で待つことになった。

 

駅の中

とりあえず暇だ。

なので駅の中をプラプラ歩くことにした。

 

国際駅で、国際列車が来るときは混雑するからなのか、椅子の数は多い。

待合室の表示はハングルとロシア語が併記されている。

出入国のある列車客のための、custom dutyっぽい部屋があった。もちろん閉まっている。

売店はいつ営業するのかよくわからないが、売店自体は存在した。もちろん閉まっている。

壁の一部にはこの路線の開業や歴史を展示する場所があった。

 

一通りうろうろした。

 

ここからは斜字体の部分は完全に僕の妄想であり、空想癖であり、精神分裂病による過去の作話であります。

※斜字体の部分は事実ではありません!

 

さて暇になったぞ。

さっきのニコニコの個人的に知り合ったら良い奴そうな軍人には申し訳ないが、私は日本人である。

 

ここに来る労力は、そう安い値段ではない。

 

ここで駅の外観を一切撮影しないなんてありえない。

何のために此処まで来たんだ。

 

ありえねえ。

 

ロシア人にアル中やニコチン中毒が多いのと同じくらいに。日本人は写真中毒に侵されている。

 

そこで閃いた。

 

煙草だ。

 

煙草を理由に外に出ればいい。室内は禁煙だから、外に出られるはずだ!

 

僕は25歳。煙草は生まれて25年間一度も吸ったことがない。

そしてもちろん煙草なんて持っていない。さてどうするか。

 

「クーリッツァ」

 

僕は警備員に近づき、こう発した。

警備員が外についてこなければラッキー。監視についてきたらまあなんとかなるだろ。

 

僕は後先考えない。

後先考えるような人間ならそもそもハサンくんだりまで来たりしない。

 

2人はちょっと話した後、外だと言った。

 

2人の警備員のうち年取った方が僕を促して出口に向かった。

ドアから外に出る。

 

ハサン駅の駅舎が見れた。

駅到着直後は慌ただしく駅内に入ったのでよく見れなかった。今は一応見れる。

 

 

警備員は、僕より先に煙草を吸い出している。

 

僕は生まれて25年間煙草を吸ったことは無いので、もちろんそんなものは持っていない。

吸おうにも吸えない。

 

たたかう/にげる/たばこをきらしたふりをする

 

3番だ。

おもむろに煙草切らしたフリだ。

自分でもわざとらしすぎると思うが、どうしようもない。

 

警備員おじさんは優しいことに1本くれた。

 

僕は人生で初めて煙草を吸った。

 

僕は煙草は吸わない。

しかし煙は嫌いではない。

臭いとか健康被害を理由に煙草バッシングが多いが、僕はとっとと死にたいので受動喫煙賛成派だから、副流煙を吸ってもなんとも思わない。

 

これまでむしろ進んで副流煙を吸っていたのでその成果か、初喫煙は特にむせることなく、そこまできつくなかった。初喫煙とばれずに済んだわけだ。受動喫煙はあなたの役に立つ。

屋外に出る作戦は成功。あとは写真を撮るだけだ。

 

警備員おじさんを見る

全く僕を監視する気なく、そっぽを向いて煙草を吸っている。

 

僕はコンデジとスマホを駆使し、低画質ながらなんとか写真を撮る。

 

もう一度警備員おじさんを見る。

警備員おじさんは未だに僕を監視する気なく、ウロウロ歩いて暇をつぶしている。

 

僕は人生で初めての煙草、ロシアブランドの煙草を口にくわえながら、低画質の写真を撮る。

意味不明すぎて最高にエキサイティングだ。

 

NK国まで2km。厳密には違法。ブラフのために初喫煙。違法に違法を重ね写真を撮るわけだ。

 

アホすぎる。

 

煙草が短くなってきたので、タイミングを見て灰皿にぶち込み、煙草を吸いおわった旨を告げる

そして駅舎内に入る。

 

何もすることのないがらんどうな駅舎内で、僕はこの文章の半分くらいを打った。暇なので。

 

ウスリスクへ戻る列車

1時が近づき、RZDの女性が話しかけてきました。

KACCAはあるので切符はいいのかと聞いたら切符は車内で買えとのこと。

 

女性に促され、さっきと同じ列車に乗ります。

 

発車12分前。

 

残念なことに、僕はさっきのコンデジとスマホだけでは満足しない、マナーの悪いヲタクだ。正直僕はマスコミと呼ばれる人種と同じ穴の狢だと思う。

 

こんな僻地、そしてやばい所にせっかく来たのだ。手ぶらで帰りたくない。さらなる土産が必要だ。

どうせこんな所には二度とくるまい。

旅の迷惑はかき捨てろ。

 

RZD駅員の女性に言ってみた。

お願い!!!!!!!!!!!!!!!

 

なんかわからんけど、撮っていいことになった。若干嫌そうだったけど

熱意は大切だ。

 

僕のPENTAX K1 MARK2はハサン駅と停車中の列車のコンビをそのフルサイズセンサーを通してデジタルデータに焼き付けた。

 

流石に状況が状況だけに慌てていたので微妙な露出の写真になっちゃった。ま、スマホよりはマシだろう。

 

そういうわけで、僕はウスリスクへの列車に5分前に乗車し、合法安全地帯に戻りましたとさ。

 

分かったこと

  • ハサンは基本的に外国人進入禁止。
  • スペシャルパスがあればOK。ウラジオストクの沿海州セントラルミリタリーサービスで取れるらしい。1~2週間かかる。

 

聞き忘れ:

どこから侵入制限がある地域になるのか。その範囲。

 

僕もあわてていたので聞きそびれた… ミスったなー。

 

結論

 

基本的にハサンへ行ってはいけません。

 

 

 

 

Hasan Ussuriysk Baranovskiy

 

リンク

僕もどこで許可を取ればいいか正確なこと聞き忘れました。取材力の低さ申し訳ないです。

また、禁止区域がどの範囲化かも聞き忘れました。

 

ロシア軍

http://pda.mil.ru/

ロシア軍ヴォストーク コンタクト ハバロフスク

https://structure.mil.ru/structure/okruga/east/contacts.htm

 

ロシア軍ヴォストーク

https://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%92%D0%BE%D1%81%D1%82%D0%BE%D1%87%D0%BD%D1%8B%D0%B9_%D0%B2%D0%BE%D0%B5%D0%BD%D0%BD%D1%8B%D0%B9_%D0%BE%D0%BA%D1%80%D1%83%D0%B3

 

 

軍事裁判所ウラジオストク

Тихоокеанский Флотский Военный Суд

http://tihookeanskyfvs.prm.sudrf.ru/

 

 

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