【証言】クリミアは安全か 2019 世界一平和な紛争地?

 

セルゲイソ連スキーです。今回はクリミア半島の2019年現在の治安について、証言を得たので紹介します。

 

国際社会の見解

 

Political status of Crimea – Wikipedia

ロシアによるクリミア占領を承認した国と、非難している国かはこちらを参照できます。西側ヨーロッパをはじめとしたほとんどの国は、占領を非難する声明を出しています。イギリスはクリミア占領をロシアの事をよく思っていません。Cameron氏は国際法に敬意を払っていないと発言。ほか多くの声明があるとのこと。一方旧CIS諸国の親ロシアの国やアフリカの一部や中東の一部の国は、ロシアのものであると認めています。

 

渡航危険情報

 

日本外務省が出している渡航危険情報:

 

海外安全ホームページ: 危険情報詳細

“クリミア自治共和国及びセヴァストーポリ市
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(滞在中の方は事情が許す限り早期の退避を検討してください。)(継続)”

 

とのこと。4段階中下から3段目のレベル3でオレンジ色です。この情報を深刻に受け止めた場合、行くのが躊躇われる場所でしょう。仮にクリミアに行って死亡などあった場合日本のヒステリーな善良な市民は自業自得だと騒ぎ立てられてしまうでしょう。日本以外の危険情報もチェックしてみます。

 

英国の渡航危険情報:

 

Ukraine travel advice – GOV.UK

クリミアは真っ赤になっており、Against al travelとなっています。ウクライナ東部も同様です。

“The FCO is not able to provide consular services to anyone in Crimea.” とあるようにクリミアで何かあってもイギリス海外福祉部(FCO)は何もできないとのこと。

 

 

 

 

しかし実際にはどうでしょうか。

今回クリミア半島に2週間程度旅行してきたというCさんからお話を伺うことができました。

以下はCさんに依頼した証言を記載します。

 

Cさんご協力感謝します。まじで。ありがとサンキュー。

 

証言者:C氏

 

以下C氏の寄稿:

 

クリミアに2週間程度行ったが治安は全く良かった。2019年現在むしろテロの標的となるイギリスやフランス、軽犯罪の多いイタリア、銃社会のアメリカと比べたら、俄然クリミアの方が治安は良のではなかろうか。

 

実体験としては「ほぼ全てOK」だけど、それでは面白くない。あるいはたまたま運が良かっただけかもしれない。1つ目に実体験を記した後、2つ目に根本的なところを最初に問おうと思う。

それは治安とは何なのか。

論理学と実体験を重ね合わせればより説得力が増すと思う。繰り返すが実体験だけだと運が良かっただだけかもしれない。

 

クリミア実体験

治安

 

日中は全く問題ない。いつも通り一眼レフをぶら下げて歩いていても大丈夫だった。間抜けな観光客のように見えるけども実際間抜けな観光客だ。絵を見ると分かり易いと思う。

 

C氏の証言より作成

 

ウクライナ東部は現在進行形で紛争があると旅行中出会ったウクライナ人が言っていたが、対照的にクリミアはもうすべてが終結している。ロシアの統治は完全だ。ロシアルーブルだし、看板にはひとつもウクライナ語は無い。つまりiは無い。

 

夜については街によって良い雰囲気と良いとは言えない雰囲気があった。

首都シンフィロポルの場合夜10時に歩くと見知らぬ男から声をかけられることはある。しかしそんなことを気にしていたら海外は歩けないので、いつも通り無視すればよいだろう。日が暮れた列車の中で酔っぱらったアル中らしき男に絡まれる事もある。そんなことを気にしていたらロシアは歩けないので、下手に刺激せずニコニコしながら、眠くてぼーっとしてるふりをしつつあいまいな相槌を打てばいいだろう。

 

逆に良い雰囲気の街もある。それはセバストポルだ。

おそらくクリミア内で最も治安が良い街と言って良い。夜暗くなっても街に人通りがある。街灯は多い。公園では夜、演奏が行われ回りで多くの(40人以上は居たと思う)市民がペアだったりペアじゃなかったりしながら躍っている。踊っている人より多くの人がそれを回りで眺めている。私は安易に幸せという言葉を使いたくないが本当に幸せそうな風景だった。隣ではロックバンドの演奏をしているグループがいて20人ほどが聞いている。少し離れたところではアコーディオンを囲んで老人のグループが輪になってスローダンスしている。凄い。すごすぎる。これで渡航危険なわけがない。

 

政情については、ロシアが完全に統治したためにかえって安定したと言って良い。だからいきなり銃撃戦が始まるとか町で機関銃を持つ兵士を見かけるということは無い。ただし占領直後は兵士が町を歩いているのを見たことがあると話した人が居た。

 

フェオドシアから乗った列車内で、鉄道作業員の男から聞いた話だが、クリミアは8割がロシア系と言っていた。(wikipediaによると58%だがウクライナ系は難民として逃げて減った可能性はある。)、ロシアのクリミア併合は大多数には受け入れられているかもしれない。彼に、昔のウクライナ時代と今のロシア統治のどっちが好きかと聞いた。流石にその質問はセンシティブすぎて答えてくれなかった。It is a bad question, sorryと言って謝罪しておいた。彼としても大勢の客が乗る列車内で不用意に発言したら確かに危険だろうし。

 

クリミアを出る時、ケレチ大橋の上で思ったことがある。危険なのは現地ではなく帰国した時かもしれない。あまり宜しくない地域に行ったわけで実効支配を賛成したという扱いになる。とはいえ基本的に明るみに出ることは無いので問題ないはずだ。

 

生活について

生活水準

 

一部の証言では、クリミアは占領後物資が不足し値段は高いのに商品や食べ物の品質が悪いという人が居た。それが二千何年の話だか知らないが、2019年に関しては全く嘘だ。

物価はロシアと大して変わらないし食べ物も普通においしい。ただしロシアの物価と同じという意味だ。つまりウクライナの物価と比べるとかなり高くなっている。ロシアスタンダード物価になったと考えていい。

 

クレジットカードが使えない

 

証拠を残さないためにもそもそも現金主義を貫いた方が良いんだが、試しにやってみたところショッピングもキャッシングもクレジットカードがブロックされていた。機械が拒否する。シビルバンクの口座のカードとかなら可能かもしれないが、少なくとも日本で作ったクレカは無理だ。

ロシアに居る間に事前に現金を多めに出すことをおすすめする。仮に現金が尽きた場合銀行がある。ユーロかドルならルーブルに変換できる。両替屋みたいなのはめったにない。外国人が来ないからかもしれない。

 

ホテル

 

ウクライナ時代はブッキングコムでホテルを検索出来た。現在は一切の掲載ホテルは無い。経済制裁だ。多くのホテルはブッキングコム加盟時代の2014年とか昔の評価アワードを貼ったままだった。

今はロシア独自の宿泊検索サービスを利用するしかない。

  • Hotel101
  • Tvil.com

が使えるがTvilはロシア語オンリーだ。多少のロシア語の造詣が必要かもしれない。クリミアくんだりまで行くような人はその程度何とかするだろうが。Tvil.comは案外運営がいい加減で冬季休業の安宿が掲載していたりする。

ブッキングコム以外でも制裁のせいらしくCan not access thus region となるサイトがあるから注意だ。

 

ロシアのSIMカード

 

残念ながらロシアのSIMカードは使えない。クリミアはロシアのものだというのにこれはロシアじゃないのか。MTCの場合海外ローミング扱いになり、500ルーブル課金すると使えるようになるらしい。面倒だったので課金しなかった。

 

ナンバー

 

気になっていたことだが車のナンバープレートは当然RUになっていた。ごくまれに廃車がUKのままのものが放置されている。実はウクライナとロシアの間の自動車の交通は多くは無いがあるらしい。マリウポルの自動車販売店のマークがついたウクライナナンバーの車が走っているのを見かけた。トラック輸送などの物資は全くなさそうだった。ロシア側のクリミアブリッジから運べばいいからだ。

 

やはり現在は外国人は(めったに)来ない

 

とある博物館で英語を話す女性が、foreigner dont come now. と言っていた。やはり基本的には来ないそうだ。クリミア市民も現在が難しいシチュエーションだと自覚している

複雑な情勢が影響して中国人観光客を全く見まない。彼らが大勢で居たらすぐに分かるけども、著名観光地ヤルタでさえ居ない。

14日の旅行中アジア系を見かけたのは1回だけ。ロシア人の男となんとなく日本人らしき女性がいた。モスクワかペテルブルクのカップルで彼ピッピがクリミアは良いところさ。安全だよハッハッハとか言って連れてきた感じなんだろう。

逆にロシア人観光客らしき人々は大勢来ていた。併合のおかげで気軽に観光しやすくなったのだろう。

 

 

そもそも治安が悪いとは何だろうか

 

Twitterでも渡航危険でもガイドブックでも簡単に治安が悪いとか治安が良いとは言えないから気を付けろと言葉を使っている。それは全て同じ治安が良いだろうか。軽自動車とテスラモーターとブラジルの鉱山ではたらくコマツの車くらい違うんじゃないだろうか。少なくとも、西成や川口の治安が悪いのとシリアの治安が悪いのが同じなわけがない。

これは量の差だけで表せるのではなくて質も違うと思う。治安には大まかに以下の種類があると思う。完璧な分類ではないが一つの分け方だと思う。

 

1.本当に戦争をしている。本当に治安が悪い

 

現在進行形で紛争や戦争をしている地域を指す。今最もありそうな例はシリアとか。

安易に西成は治安が悪いとか言うけども、いくら西成でも武力衝突が起きているわけではない。

香港はどうでしょう。香港は現在警察と言いながら民衆に向かって武力を使っていると報じられている。もちろん空爆をしているわけではない。しかし市民と公権力の対立はひとつの紛争ととらえることができます。よって香港はこの1.狭義の治安が悪いとみている。

 

そういう場所に行っていきなりドンパチ始まったとしたら、もうそれは仕方ないというしかない。隠れるかダッシュで逃げればいいと思う。私はそんな場所に入ったことない。

 

原因:

ある集団とある集団の対立。イスラム主義と白人。共産主義の政府と自由を求める市民。簡単な言葉では政情不安定とか紛争とか戦争という。

 

2.軽犯罪

 

これが最も遭遇する確率が高いはずだ。

単純で簡単な犯罪、スリなどが多いことを指す。こんなのは大都市ならどこにでもある。地下鉄、バス、人込みのマーケット。これは気を付けるしかない。財布は前ポケットに入れるとか、変な奴に話しかけられたら無視するとか。

 

職があれば、わざわざスリなんかしようと思ったりはしない。失業率の高さは軽犯罪を増やすかもしれない。犯罪の手段に考えをめぐらす暇があるからだ。GDPが高い国だからといって安心はできない。平均値と中央値は違う。格差が大きいかもしれない。

 

原因:高失業率、格差

 

 

3.暴力的犯罪

 

このパターンでは、犯罪者は最初から観光客を狙うつもりで生きているわけではない。もしかしたら普段は強盗とか他の重犯罪をしているかもしれない。観光産業が無い場合めったに標的の外国人は来ないからそれを頼りに生きていくわけにはいかない。

たまたま金持ちそうな人が歩いてきた。弱そうだしラッキー殴って金目の物を奪ってやると単に思うかもしれない。あるいは自分の貧乏と比較して許せないのかもしれない。その気持ちは妥当だと思う。先進国は第三世界を搾取し続けてきた。今も搾取している。そしてこれからも搾取し続けると思う。単純に余りにも貧しいので金持ちな外国人を狙う。そういう国では注意が必要かもしれない。

 

あるいは(私はそんなのを見たことは無いが)人種差別による国粋主義者が劣等の黄色人をリンチにするというのがよくトラベルガイドに書いてある。ここに入ると思うが、危険性の過大評価で実際にはほとんど起きていないんじゃないかと思う。いくら嫌いな人種でもそれだけを理由にリンチする人は珍しいはずだ。

 

原因:

貧困(強)、失業率高、ろくな産業が無い、差別(確率は相当低いと思う)

 

 

4.ビジネス的犯罪

 

派手な衣装には気を付けろ。彼はあなたの思い出には興味は無い。金に用がある

ローマで中世っぽい格好をした人が写真を一緒に撮ろうとしてくるのを経験したことはないだろうか?

これは観光客が多いからこそ成り立つビジネス的犯罪だろう。厳密には治安とは関係ないかもしれない。しかし観光客から高額をむしりとるあんな輩が居て治安が良いとは言えなそうだ。観光客の中で初心者には注意した方が良いかもしれない。

昔話だから笑い話になるが私は初めてのヨーロッパでやられて50ユーロ失った。いまだにイタリアには恨みがあるので、海外に行くアドバイスを求められたとき常にイタリアの悪口を言っている。しかし私の悪口は単なる私怨だけではない。

イタリアやフランスは、観光が世界で最も盛んといって良い。観光客の分母がべらぼうに多い。そしたら観光客をカモにすることで生計が成り立つ。引っかかるか引っかからないかは結局確率ですから、観光大国ほどなります。実質ローマとパリのことを言っている。彼らは最初から犯罪をするつもりで生きている。そして街に繰り出して観光客に話しかけつづける。

観光客を狙ったキャッチからのぼったくりもこれに入る。無警戒で浮かれている観光客を店に呼び込む。あるいは仲良くなったふりをする(私はそんなことをされた事は無いから本当にあるのかあまり信じられないが)

 

原因:

観光客が多すぎる

 

 

結局クリミアは当てはまるか

 

先述の通り4つにパターン分けをした。

 

  1. 本当の戦争や紛争、政情不安
  2. 軽犯罪
  3. 暴力犯罪
  4. ビジネス犯罪

 

1~4のパターンは単独ではなく、重なっている場合もあるし中間もあるかもしれない。2軽犯罪と3重犯罪は重なり合っているかもしれない。明確な線引きというよりもパターン分けだから。複数もあるかもしれない。イタリアやフランスは3もあるし4もある。1、2、3全部というところもあるかも。

 

クリミアはどれに当てはまりそうか。

 

クリミアはロシアが完全に占領してしまったので安定しており、1の不安はもう去ってしまった。2は失業や低経済に関わるが、低いGDPのウクライナからGDPの高いロシアに併合されたわけだから経済は良くなっている。そもそもソ連圏は失業率は低い。そしてソ連圏は監視社会で案外軽犯罪は少ない。 3はアフリカや南米の話でクリミアはそこまで貧しくはない。 4が出来るほど観光は盛んではない。 (しいていえば世界中どこでもある2くらいなものだ)

 

理論上クリミアに不安要素は少ない。

 

理論上クリミアは行っても問題ないのである。

 

行ったことない大勢の人たちが、何がなんだか知らないが危なそうだと勝手に思い込んでいるだけのように思える。

 

先述した通り、実際行ったところ雰囲気の良い地域だった。結局ロシア人の方が民族別ではマジョリティの58%だということと、(これは確実とは言えないがおそらく)賃金水準が上がったことがあるんだと思う。

 

理論も実際も問題ないと言っている。

Against all travel でも レベル3渡航は辞めてください でもない。大げさだどころか半ば嘘だ。

 

 

というわけで2019年現在実際行くにはどうしたらいいかを以下に記す。

 

 

行くにはどうしたらいいか

侵入ルート

 

もちろん侵入ルートはロシアからだ。やっていないので知らないがウクライナ側から国境に近づくこと自体あまり良い結果にはならないと思う。いや多分相当まずい結果になるだろう。

クリミア実効支配を強めるためとんでもない早さで作った Crimian Bridgeという橋がありこれでロシアから簡単に行ける。2015年に工事開始、2018年に完成した。費用は2280億ルーブルらしい。円に換算すると4千億円。18kmの海上大橋にしては安い気がするが労働力が安価なのだろうか。

クラスノダルやアナパからバスが出ているので簡単に行くことができる。鉄道橋は2020年に開通予定だ。スタンプについてはクリミアに入った証拠があると、ウクライナや他国で入国拒否にあう可能性がある。しかし、基本的には全く証拠は残らない。なにせ国境審査は無い。国内扱いだから。

 

見どころ

 

クリミアはBC4にはギリシア人が住んでいて遺跡もある。ケレチのオベリスクの裏手には遺跡があるし、同市内には考古学博物館がある。ケレチの教会はビザンチン様式の建物がある。建物は現存するが16世紀に拡張している。残念ながら内部にはビザンチン美術の壁画は残っていない。もちろん保存状態ではミストラスのような本場ギリシアと比べたら劣るがビザンチン様式をこんな離れた地で見られるのは感慨深い。

 

結論

 

政府が出す渡航危険情報なんて嘘っぱちの場合もあるのだ。行ってみたら案外良い場所かもしれない。というか実際良い場所だった。こんな素晴らしい目的地が封じられているのは悲しい事だ。ただし国際的には議論を呼ぶ場所であることは忘れてはならない。つまり -自分が意図していなかろうと 行動には意味が伴うかもしれない。

 

  • 日中は余裕で大丈夫
  • 夜は街によっては酔っ払いが絡んでくる。
  • 夜でも治安のよい街はある
  • 物価はロシアと同等
  • 現金オンリー

 

この文章は全てGeekTravel に帰属する。

 

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