ジョージア アゼルバイジャン 鉄道国境突破 2019

 

今回はトビリシからバクーの夜行列車を使って陸路国境突破をしてみました。乗車は2019年12月5日です。前回陸路の国境はロシアからジョージアへバスで陸路突破してみました。

ロシア ジョージア 陸路国境突破 2019

 

トビリシ→バクー3つの方法

 

おそらくジョージアからアゼルバイジャンへ行くには3つメジャーな方法があります。徒歩やチャリやヒッチや鳥人間は除いて。

  1. 飛行機
  2. 列車
  3. バス

 

1の飛行機はVisa on Arrivalがあり一番楽です。アゼルバイジャン航空か、LCCのButa airで行けます。前者なら1万円、後者なら荷物ありで6千円くらいでいけます。

2は今回実施します。

3のバスは、トビリシの国際バスターミナルから行けます。

第4のトリッキーな方法としては、トビリシからアゼルバイジャンのバラカン(Balakan)までバスやタクシーを駆使して移動し、 Balakan からはアゼルバイジャン国鉄の国内線で行く方法があります。アゼル国内夜行列車は安価なので、安さを求めるなら選択肢の一つです。

 

地図

 

ジョージアの区間は50kmで終わります。殆どアゼルバイジャンを走ります。

 

 

事前準備

紙のビザ

 

証明写真、日本大使館Recommendation、ホテル予約確認の紙、パスポートの4点を用意してトビリシのアゼルバイジャン大使館で取得しました。

https://mitsuyahideto.com/how-to-get-azerbaijan-visa-at-tbilisi/#comment-area

こちらはホテル確認書印刷不要と書いてありますが実際には必要です。14日以上滞在する外国人はアゼルバイジャン到着後、5労働日以内に移民局に申請しなければならないという法律があるらしく、おそらく渡航予定期間が13日以内と書いてビザ申請するとビザ取得時ホテルの予約確認書を出すのが免除するのではないかと思われます。

 

電子ビザ

 

私と同列車で中国人がアゼルバイジャンE-Visaで普通に入国してたので電子ビザでも列車陸路突破は行けるようです。

 

チケット/料金

 

トビリシ中央駅で簡単に買えます。英語が通じます。

料金:38.55 ラリ

 

チケットは2枚つづりで2はちぎられて消えます。ロシア語なのでソ連のシステムなのかな?という話もあったんですが印字はトナーで見た目は違う。(ウクライナのようにまるっきりロシア旧券と同じではないです) システムまでは私には分からないので真相は謎です。

 

 

時刻

 

2019年12月時点

  • No.38 Tbilisi Pass 2035→ Baku 852
  • No.37 Baku 2040 → Tbilisi Pass 855

ジョージア国境、アゼルバイジャン国境共に60分のバカ停があります。

 

実際に乗ってみた

 

客車はトビリシ1番線に停車しています。客車はアゼルバイジャン国鉄のもの。

トビリシ1番線。彩度の低い緑色とクリームで渋い色会い。プラットホームにはあまり人気がない台車を押して物を販売しているおじさん。それと近づくとなぜか神の祝福あれ!みたいな内容を唱えてくるおばあさん。ボケているのか?薄暗いトビリシ1番線は混雑はしていないのになぜかカオスです。

写真の怒られはなく案外緩いです。

奇数日発のエレバン行きが20:20発で友人が乗っていったので彼を見送ってみます。エレバン行きの機関車もВЛ10ですがGRの機関車ではなくЮКЖДの青い機関車でした。そのまま走っていくのか。

 

正確には分かりませんが発車30分前くらいに機関車が取り付けられてました。機関車はGR ジョージア鉄道のVL10。これはアゼルバイジャンに入ってどこかのタイミングで交換し翌朝は別の機関車でした。

 

発車

 

 

同コンパートメントは子供と孫がアゼルバイジャンに居るらしい女性。口数は多くは無いですが飴をくれたりシーツのセットを手伝ってくれて優しい人でした。

これがアゼルバイジャン国鉄シーツ。

 

隣のコンパートメントでは中国人が乗っていて私が髪を切ったばかりで中国人っぽい見た目をしていたからか、中国語で話しかけてきました。私はi am japanese と言って英語で少し話すけども相手は i can not speak English と言っていました。

発車して時間がそんなに経過しない頃、車掌はSimplified Declaration の紙を渡してきます。定番の大量のドルや別送品が無いかの申請用紙です。必要事項を記入してアゼルバイジャン入国時に渡します。

 

 

車内の時刻表によるとQaciani 駅21:08着 21:10発なのに21:07分に走り出したり、Rustavi-seanは21:19着 21:21発のはずなのに15分着16分発で走り出すなどしています。早着はいいけどダイヤより早発はいいのかよ。

 

 

ビッグブラザー

 

 

座席の色が緑色でRZDでは見たことのない色です。構造はほぼ同じですがいくつかRZDと違う点があります。フットレストが2人分分割して付いていて、間には小物入れがあります。RZDの折り畳み式小物入れはありません。コンセントは写真の右奥についています。

 

そしてRZDでは決して見ない設備がこれ。

 

コンセントの上部をご覧ください。何かがあなたを見つめています。全ての座席にひとつずつこんな丸いものがあります。まさか過ぎてこええ。何という超絶監視国家。アゼルバイジャンは独裁国家と聞いていましたがまさかそこまでとは???私はビックブラザーを愛していた。ゴミ箱に捨てたと思ったら… 朝起きたら憎悪の練習をしないと(大混乱)

いやこれ本当にカメラなのか?余りにも気になったので車掌にЧТО ЭТОと聞いてみたところ車掌はカメラの下の小さいポチを押します。光りだしました。ただの読書灯かよ。ビビらせやがってライトめ。結構壊れているのも多く、写真のライトも壊れて点灯しません。

 

 

国境審査

 

出発から1時間後、21:35 ジョージアの国境の駅に Qardabani に到着。ジョージア区間は短区間で終了。

まず審査官が乗り込んできてパスポートを回収して回ります。ジョージアの審査官は親切で「アゼルバイジャンのビザはあるか」と聞いてきます。私は該当頁を見せました。ジョージア国境審査の駅ではロシア国鉄のように外に出るなと言うこともなく、パスポートを預けた人々は外で煙草を吸っています。煙草はやりませんが外に出て空気を吸います。

21:57 と22:01 にВЛ10(11かもしれないけど)トビリシ方向へ すれ違っていくのが見えました。入れ替えなの可能性もありますが結構貨物は活発かもしれない。

 

22:25頃、発車10分前頃にようやく警察が戻ってきてパスポートを渡されて完了。出国は気楽です。

 

 

アゼルバイジャン入国

 

まず警察らしき男がパスポートを回収して回ります。関税の申請書も彼に渡します。

アゼルバイジャンの警官は緑色基調の制服です。実際にはもっと深い濃い緑です。審査官が車内に入ってきた段階でいきなりなぜか隣コンパの中国人はやたらアルメニアに行った事があるか聞かれています。彼はi dont understand englishでごり押し気だwすごい。英語をあまり分かってないのは事実だろうけどもアルメニアに行ったことがあるか聞かれてるのは国際情勢と雰囲気でわかるだろと突っ込みたくなります。

矢張りアルメニアの後アゼルバイジャンに行くのは一切不可ではなさそうだけども陸路では余計な気苦労を避けるためにやめたほうが良さそうな雰囲気です。

 

次に終わると迷彩服の若い男が入ってきました。彼は棒状の探知機を持って天井の上の方に掲げています。なんだ?EMFか?スーパーナチュラルか?ゴーストバスターズか? 一体何の探知機だったのか。いや冷静に考えたら一番上の荷物を置けるスペースに密輸品が置いてないかチェックするための単なる鏡の可能性もあります。わからんけど。

 

 

そして入国審査です。これは建物に行く必要はなく列車内でやってくれます。列車内一番端っこのコンパートメントが即席入国管理所になっています。審査官が居て大きなスーツケースを開いています。多分パソコンか何かがあるのでしょう。アルメニアに行ったことがあるかと聞かれるので、I have never been to Armenia とか No と答えましょう。パスポートは3周入念に見ていたので嘘をついたら即でバレると思います。

開かれたスーツケースの上部にはクリップで留めたようなカメラが設置してあり、そこを向けと言われて写真を撮られます。

審査に呼ばれるまでと審査が終わった後は暇です。1時間のバカ停をゆっくり待ちます。中国人は故郷が懐かしいからかスピーカーで中国語の音楽を流していました。ちょっと音量がでかくてさらに隣の人に文句を言われて少し音量を落とし彼自身も口ずさんでいました。

 

 

ビザの有効日について

 

アゼルバイジャン最初の停車駅かつ審査駅 ボヤクカシックは23:00着で0:00発車実際スタンプを押してもらった瞬間は23:23スタンプを押す時点では列車発車日です。入国日もそれに準じます。

夜行列車乗車日にビザ開始日を合わせた方が良いです。良いとかではなくそうでないと多分駄目でたたき下ろされる可能性もあります。夜行列車だし何とかなるだろとか言って乗車日翌日からのビザなんて自滅過ぎます。

 

晴れて46カ国目着弾。寝ることにします。

 

アゼルバイジャン国鉄で迎える朝

 

夜行列車で迎える朝は素晴らしい。辺りは緑があまりなく砂漠の低い山のような風景が広がっています。窓が汚くてスマホで撮った写真はいまいちだったのですが車窓には荒涼とした砂漠の一歩手前みたいな大地と、時々樹木のない砂と岩で構成した山が広がっています。

右手にはごく短い区間だけカスピ海が見える区間があります。人生初めて見るカスピ海。

アゼルバイジャン内は旧型客車に似合わず時速100kmで走っていきます。最新の客車で100km/hならそこまで感銘はありませんがこの客車がボロなので結構頑張って走ってる感があります。2つくらいの駅では途中窓の外に現役のVL10やVL11が止まっているのが見えます。VL11は初めて見ましたね。

 

 

バクー

 

バクー中央駅に着く前に市街地を大きく3/4周します。起伏が多い地形で面白い線形になっています。

終点一つ前のBilajari駅では向かい側にSumgayit始発の通勤電車が止まっています。そちらが先発するのですが超満員でドアがようやく閉じる状況。日本で昔カシオペアに乗った時、立ち客のいる通勤車を横目に優雅に乗っていられるのを思い出します。

 

終点バク―。思ったより警備は厳しくなく駅舎や列車を撮影していても怒られることはありませんでした。客車内は車掌に撮るな言われたけど。

 

新機関車フランス

 

機関車はいつの間にか付け替えられていて最新鋭。横のプレートを見るとaz4a という名前でALSTOM 社製 2019年… うわあちょっと前まではVL10か11牽引に乗れたのだろうか。そうだとすると来るのが遅すぎました。

 

2019年6月に乗られた東京太郎さんの情報です。くそおおおおおお!(ジャックバウアー風) 6カ月早く来ておけば…

 

Alstom presents first freight locomotive for Azerbaijan | Alstom

引用:The first AZ8A forms part of a 2014 contract awarded to EKZ by ADY for a total 50 locomotives, including ten Prima M4 AZ4A passenger locomotives.

2014年にアゼルバイジャン国鉄は50両購入の契約を交わしたとのこと。アルストムはフランスの有名車両メーカー。’The event took place at Alstoms site in Astana, Kazakhstan’ とのことで、カザフスタンに工場なんてあったのかよと思ったら2019年3月からカザフスタンで550人以上を雇用し車両製造を開始したとのこと。

Alstom started the production of passenger locomotives in Kazakhstan | Alstom

 

 

アゼルバイジャンはあまり古い機関車を歓迎していないらしい。というかそもそもソ連カー限界ですからね。例えばこんなニュース。「いつまでソ連の遺産を使ってるの?」→

Dəmir yolu sovet irsindən nə vaxt xilas olacaq とグーグル検索すると原本は消えてしまったようですがスマホだとampでグーグルにキャッシュしている記事が出てきます。2019年5月14日の記事です。

 

 

VL10やVL11は貨物でも時間の問題と思うので早めに訪れた方が良いかも… 

 

 

おわりに

  • トビリシ→バクー は思ったより難しくない。紙ビザor電子ビザを用意。
  • やはりアルメニアは後に行った方が良い。

 

 

次回陸路突破予告:

ナヒチェヴァンからトルコへ行けるのか試してみます。バスが無かったらヒッチハイクだけどあんまりやりたくないなあ。(やりたくないとは言っていない)

 

Baku Tbilisi Баку  Тбилиси 

 

リンク

 

アルストム アゼルバイジャン

Alstom in Azerbaijan | Alstom

 

アゼルバイジャン国鉄歴史

Tariximiz | Azərbaycan Dəmir Yolları

 

2015年9月16日 線路わきの家は解体されますか?BBCアゼルバイジャン

Dəmir yolu xəttinə yaxın evlər söküləcəkmi? – BBC News Azərbaycanca

 

 

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