アブハジア 愛すべき廃駅たち
セルゲイソ連スキーです。コーカサスの西の端にある未承認国家アブハジア。現在は事実上政府が存在しジョージアの統治ではありません。世界では8か国からしか承認されていません。
アブハジアには20世紀に取り残されたような鉄道が走っています。未だにソ連製VL8が貨物を引いています。長距離列車はモスクワ発の列車が走っています。これはRZDのディーゼル機関車が牽引します。
アブハジアにはかつて近郊列車も走っていました。現在夏の間だけロシアのアドレルからガグラまでの列車が走っています。詳細は上のリンクにて。夏季限定のロシア直通以外の近郊電車は廃止されています。
そのため途中には廃駅が数多く存在します。廃駅にはホームと屋根だけの小さな物から、駅舎がある大きな物まであります。そのうちいくつかを回ってみました。
Абхазская железная дорога -wikipedia ru
ロシア語版のウィキペディアには 2011年の写真で流線形エレクトリ―チカがПсырцха (платформа) に停車している写真があります。
廃駅
今回は8つ紹介します。首都スフミの前後にある1から3、ノヴィアフォンの西にある世界的有名廃駅Psyrtskha, ガグラ周辺の5,6,7 の駅です。
1.Guma Гума
スフミから東へ1駅。この駅はスフミ市街地の北東に位置しています。former building of the council of ministers の近くです。列車が走っていれば観光に便利だったかも。
窓ガラスが無くなってむしろ解放感のある明るい廃墟です。
ビュッフェあったのか。
この駅の外で3人の青年が居ました。スマホの貨物列車の写真を見せてここに列車は来るのかと聞くと来ると言っていました。パセジスキ―?と聞いたら、ガグラの駅の方を指さしてあっちだと言っていました。やはりこの駅にはもはや列車は来ないようです。
写真のようにガグラ駅より東は架線が破損して非電化になっています。運が良ければディーゼル貨物を見られます。
2.Керасур
Керасур Kerasur
スフミから東へ2駅。神殿っぽい柱の真ん中の1本はコンクリートが消滅し浮遊してるみたいになっています。
ここは廃墟度が高いです。
ぬおお
黒海の砂浜のすぐ横で夕日が海から注いでいました。近郊列車があったころは海水浴駅だったかもしれない。
大きな駅舎は山側にありますが、海側にもプラットホームがあります。紅葉の季節で廃ホームに葉が散っていました。
ディーゼル貨物の撮影地にしようと思ったら列車が来ずにただの日向ぼっこになりましたがこんな日和ならもう日向ぼっこでいいや
海側ホームのコンクリ屋根の手前。素晴らしい破壊具合。斜めでちょっとかっこいいデザインの屋根は2か所あり写真はそのうちの一つです。
架道橋
Керасур駅の西にある架道橋。国道と線路をくぐって海に出られます。
トラス橋
Керасур駅の東にあるボロい橋。貨物列車はここを今も走っています。
3.Платформа Ачадара
Платформа Ачадара Achadara
首都スフミから西へ1駅の廃駅です。なんだかこうしてみると能登線の廃線跡みたいだな。違うか。
この駅の近くにはНовый Район という地区があります。そこはソ連住宅が大量に立ち並ぶ場所です。ひょっとしたら近郊電車があったころはその市民がよく使っていたのかもしれない。
素晴らしい穴ぼこ。コンクリートの質があまりよくないのか、劣化具合が進んでいます。
割れた瓶のガラスの破片が散らばっているので静養するときは注意が必要です。
1日1本のモスクワからの列車が来ます。
世界的有名観光地ノヴィアフォンの廃駅
4.Платформа Псырцха
Платформа Псырцха Psyrtskha
Псырцха (платформа) — Википедия
世界的というよりどちらかというとロシア的?有名観光地のノヴィアフォン。英語だとニューアソスです。ギリシアのアソス山は入山許可証が必要で本格的な修行のための山ですが、こちらのニューアソスはちょっと行けば入れる優しい修道院群です。
その修道院群の近くに美しい廃駅があります。Платформа Псырцха という駅です。ここは有名観光地となっていて日中は観光客がしょっちゅうやってきます。暇なトンネル守がいます。そのまわりに2名くらいおじさんがいて昼間からウォッカ飲んでいる場合があります。陽気に話しかけて来て、急に金をせびりだしあげないと不機嫌になるという超迷惑な人が居るかもしれませんがまあそれはそれで仕方ないでしょう。
8角形の駅舎の床には模様が描かれています。
Платформа Псырцха は山と山の間に突然できた水のある空間のような場所です。ホーム両端からそれぞれトンネルを見られます。
観光地。
ノヴィアフォンに観光に来るのは殆どロシア人です。ロシア人はアブハジアビザが不要らしい。まだアブハジア人は観光をするほど所得は高くないようです。
私はこの駅で出会ったロシア人家族と行先がAnacopia Fortressで同じでした。アナコピア要塞は要塞だけでなく中に現役の教会もあります。彼らは、夫妻たぶん再婚、娘x3 息子x2とかいう大家族。せっかくなので道中話していると、彼らは翌日私が行きたかったリッツァ国立公園に行くというので、結局その後2日同じ民泊に宿泊した上に無賃でシボレーのミニバンで観光しました。
廃駅ガグラ周辺
5.АЛАХАДЗИХ?
ガグラから東へ1駅。АЛАХАДЗИХと駅名版に書かれている駅です。付近にはАЛАХАДЗЫ という地名があるんですが変化形か何かなんですかね。
ホームと少しの屋根のみです。コンクリートの施工が雑なためか穴ボコがいくつもあり草が突き抜けています。
6.Bzypta Взыпта
ガグラから東へ2つ目、Bzypta 駅。大きな駅舎があります。ここは駅舎のほとんどが開けっ放しなので自由に中に入って撮影できます。
写真左端は人が休む場所になっています。完全な廃墟でなく使われているというのが驚きです。どこからともなくラジオが聞こえてきたときは少しびびりました。
光が差し込んで美しい。
割れたガラスや剥がれた壁面。色々な残骸が落ちています。
何らかの電気的な機械が横倒しになっています。
ところでこのブジプタ駅では、ホームの高くなっている部分の段差を利用してコンテナから自動車を積み下ろすのに使っていました。日本から輸入した車の入ったコンテナで、高尾山のお守りシールが貼ってあったので彼らに話しかけてみました。2万キロしか乗ってないフィットをなんで日本人がうっぱらったのかアブハジア人は不思議がっていました。
7.ガグラから東へ3つめ名称不明プラットホーム
この駅は本当に駅名が分からないんですが、西洋感のある槍みたいな木が美しく並ぶ廃駅です。
階段は良い雰囲気。ホーム両端にそれぞれ階段があります。
小さな小屋があり中を見るととっちらかってました。
現役の駅すら廃墟と化している。
アブハジアの駅は現役の駅すらも巨大な駅本屋は使われていません。またはほんの一部分の部屋だけ誰かが使っている場合もあります。駅舎面積の大部分は廃墟と化しています。
スフミ
Сухум Sukhm スフミ駅
首都のスフミでさえせっかくの巨大な駅舎は板でふさがれて使えません。強そうな駅なんですけどね。
右側の壁はぼろぼろです。
首都ですが高層ビルなんてものは一切ないのどかな街です。なにせ駅前に牛が居るくらいですからね。
実際に切符売り場の業務を行っているのは隣の小さな建物です。
ノビアフォン
Новый Афон novy afon New Athos
ここは有名観光地ノヴィアフォン(ニューアソス)の最寄り駅です。
円形のドームと柱の装飾が特徴的です。
ソ連感のある古めかしいコインロッカー(カメラ)の残骸。こういう古いのってケレチとかで現役で見たことがあります。
ガグラ
Гагра gagra
ガグラはロシアに近い大きめの駅です。浜辺のリゾートもあります。リッツア国立公園にも近いです。
ガグラ駅は立派な神殿のような趣があります。
これが駅ではなく遺跡なら文化遺産っぽく見えなくもありませんね。
天井はボロボロで、列車は一日1本しか来ませんがカフェは営業しています。なんでつぶれないんだ。列車到着時にはちゃんとタクシー親父が数は少なくてもやってきます。
こんなにたくさんの設備が昔使われていたのか?
おわりに
アブハジアはそこら中廃駅だらけで加えて警察があまりうるさくなく廃墟に侵入してもそんなに問題にならないで廃墟マニアにもお勧めできます。現役の駅も実質廃墟みたいである意味ゾンビです。
私も特にすべての廃駅を巡ろうとしたわけでは無いので紹介した以外にもまだたくさんの廃駅があります。ぜひアブハジアで廃墟巡りの旅をしてみてください。
Sukhumi railway station – Wikipedia
Abkhazia stations remains Абхазская железная дорога