あなたはズボンのポケットを恨んだことがあるか。
僕はある。
これだけでは理解不能だろうがこれなら納得行くだろう。
ズボンの右ポケットのポケットの中にある小さいポケット。おそらく小銭か何かを入れるために作ったアレ。
邪魔である。あれを作った人は最高裁判所に死刑にされるべきである。そして3秒で法務大臣の署名によるところでこの世から抹殺されるべきである。
あれは邪魔である。
ヘッダー絵のアレだ。
僕はズボンの左ポケットへ財布を入れる。これは何ら問題ない。
右にはパスポートを入れる。しかしパスポートをポケットに入れようとすると中途半端な位置で止まる。なぜなら邪魔ポケット(以下邪魔ポケットと呼称する)のせいで引っ掛かってしまう。
中途半端にパスポートが飛び出た状態を修整するため指を突っ込んで入れなおす必要がある。
体力があり意識がはっきりした状態ならいい。しかし長期の旅行や限界旅行では疲労が蓄積しそこまで気が回らない場合がある。人間は欠陥品だ。人間という生き物は欠陥品でもし工業製品ならリコール対象。製造物責任法に基づき生産者につき返すところである。人間は欠陥が多いが僕はその中でも指折りで欠陥が多い。ロット数でたまたまダメだった方だ。疲れているとミスをするし疲れていなくてもミスをする。
邪魔ポケットはそんな欠陥品の僕をさらに陥れようとしている。罠だ。邪魔ポケットを作った人は海外旅行に行かず引きこもりのジャパン人だったのかもしれない。そして小銭をじゃらじゃら言わすのが好きだったのかもしれない。私は旅行に行きパスポートを右ポケットに入れる。
僕はリスクに晒されている。
作った人間は地獄の窯で永遠に苦しみ続けるべきである。
勘弁してくれ。パスポートを持つ以前からあれは利用価値がないと思っていた。中学の制服にもついていると思う。邪魔すぎる消えてくれ。
だが、愚かなのは私だった。
なぜ邪魔なら切断しないのか?
なぜベストを尽くさないのか?
僕という欠陥品を陥れるために邪悪な人間が作り出したミニポケット。
それは僕のこの手で排除できるのではないか?そこまで強大な脅威なのか?アルカイダや環境テロリストやコングロマリットよりよっぽど弱そうだ。アヘン戦争の頃のイギリスと比べれば店に置いてある山椒くらいである。
僕は最初からこの邪魔ポケットを破壊すべきではなかったか?
なぜ25年間黙して戦わなかった。臆病者め。
否、私自身の愚かさのせいで排除しようという選択肢すら思いつかなかった。なぜだ。必要なのは対戦車砲でもなければ弾道ミサイルでもない。私の脅威たる邪魔ポケットはたった1本のハサミで抹殺できる。邪魔ポケットを作り出した悪魔の人間からの呪縛の鎖は、たった1つのハサミで解かれるのである。
今こそ反撃の狼煙を上げろ。
戦わなければ、勝てない。
切りました。
スムーズにパスポートとスマホが入るようになって最高です! 今までやらなかったのがアホでした!
地獄に落ちろベネット。
おわり!