滑走路に踏切があるジブラルタル空港【英・スペイン】

世界の空港から No.0002

どうも。お疲れ様です。山本です。2回連続空港ネタです。

 

 

 

 

イントロダクション

 

空港の滑走路といえばどんなイメージがあるでしょう。

厳重な警備、許可された人しか入れない。

 

ターミナルからバスで乗車し、タラップを上るときは駐機場を歩くことはそれほど難しくはありません。

運用している空港の滑走路に立ち入ろうものなら瞬く間に管制塔に発見され、空港保安官に御用となるはずです。

 

しかし、どんなものにも例外はある。

滑走路を歩いて渡ってよい空港。

ジブラルタル空港だ。

 

 

ジブラルタルってどこ?

 

ジブラルタルは、英国海外領(British Overseas Territory)です。

英国から1700km離れていて思いっきりスペインっぽいですが、歴史的な理由から英国領です。

 

・歴史

1704年、スペイン継承戦争でイギリスとオランダはジブラルタルを占領しました。

同年、マラガの海戦でスペイン・フランスはイギリスからジブラルタルを奪還しようとしましたが、失敗しました。

1713年、ユトレヒト条約により、ジブラルタルは英国のものであることが確定しました。

以降、スペインはイギリスに対し返還を求めていますが、300年もイギリス領のままなので、ここを手放す気はないのでしょう。

 

・地形

スペインの「ラ・リネア」という町から突き出した小さな半島で、地形的には江の島っぽい感じです。

ここは地中海の入り口であり軍事的に重要な場所です。敵が地中海に入ろうとしないよう見張ることが出来ます。だからイギリスが手放したがらないようですね。

(WW1のときUボートが普通に入っていた気がするけど。)

 

 

ジブラルタル空港とは

 

ジブラルタル空港は、ジブラルタルと大陸との付け根にあります。

滑走路の延長は1680mで、年間約4800便57万人が利用する空港です。

空港の敷地はイギリス国防省が所有しており、旅客機とRoyal Air Force Gibraltar=イギリス空軍ジブラルタルが利用しています。

 

ジブラルタル空港は、ヒストリーチャンネルで栄誉ある

最もヤバイ空港第5位に選定されました。

 

空港の南に「ザ・ロック」という岩山があります。

飛行機が着陸する際、「ザ・ロック」の周辺に吹く強風に晒され、特に冬場は着陸が不愉快なものになるからです。

 

地図では標高差まで教えてくれません。

ザ・ロックはハンパなく高く、そしてデカいです。

 

これが「ザ・ロック」。

石ってレベルじゃない。

狂ったような圧倒的存在感。視界を遮り過ぎ。

己の存在を必ずや世に轟かせんとする渇望。

これなら宇宙ステーションからでも肉眼で目視できるかもしれない(行ったことないけど)。

 

ザ・ロックは古代ギリシアの時代から「ヘラクレスの岩」として知られていました。厨二心がくすぐられます。

この巨大な一枚岩の標高は426mですが、海抜0mから一気にそびえたっているのでやたら大きく見えます。

 

 

・ジブラルタル空港の歴史

 

ジブラルタル空港は第二次世界大戦中の1939年に軍用の飛行場として建設されました。イギリス軍にとって重要な基地だったからです。当初は非常用のみの飛行場という扱いでしたが後に拡張されました。

 

建設から64年後の2003年に、ジブラルタルとマンチェスターを結ぶ初の旅客便が就航し、民間用空港としての歴史が始まりました。

2006年にはコストの問題から旅客便は一度廃止されましたが、2008年から再び運航を再開しました。

 

2019年現在、国内線と合わせると6つの空港と結ばれています。

イギリスへの国内線はロンドンのヒースロー、Gatwick、Kutonと、マンチェスターへの便があり、国際線はモロッコのカサブランカとタンジェに就航しています。

 

Gibraltar International Airport -Wikipedia(en)

 

 

ジブラルタル空港に行ってみた

 

ジブラルタル空港の踏切前に来ました。

 

「AIRFIELD AHEAD. YOU ARE NOW CROSSING A LIVE RUNWAY. PEDESTRIANS ARE TO KEEP WITHIN THE WHITE LINES PLEASE. CROSS QUICKLY

「あなたはマジで運用中の滑走路をクロスするところです」

「とっとと渡ってください」

と警告の看板があります。

 

「Do Not Litter」「BIN IT」など、「ゴミを捨てるな」とも警告しています。

ポイ捨ては文化と言わんばかりにポイ捨てを行う西洋の人が捨てたレッドブルの空き缶を飛行機が踏み潰さないように。

 

踏切の丁度真ん中です。

視界の先は全部青。滑走路の先に一切の遮蔽物がありません。

着陸時のタイヤ跡もまたいいですね。

 

西を見ると、スペインの山々とアルヘシラス港のキリンが見えます。

 

この踏切に行く際は望遠レンズを持参することを、私は強くお勧めします。

 

 

飛行機の通過

 

待ちかねた飛行機の通過時刻になりました。

 

飛行機の着陸時間になると、踏切が閉まります。

 

 

飛行機は滑走路の東側から着陸。

 

ゴオオオオオオ。

 

飛行機の着陸シーンをここまで間近で見るのは嬉しいです。

 

通過した飛行機はEasyJetという、1995年に設立したイギリスのLCC。

機体にドメインをペイントして自身の宣伝をし続ける姿は、確かにイージーな感じですね。

覚えやすさ半端ないです。

 

イージーな見た目に反して、30カ国1000ルートもある結構まともなLCCです。

イージージェット -Wikipedia

 

飛行機は一旦西の端(右の方→)へ行った後、折り返して戻ってきます。

1回の着陸で2回の踏切通過シーンを見れます。

 

飛行機はターミナルへ向かっていきます。

 

……….

 

今度は「ヘラクレスの柱(ザ・ロック)」に上って、離陸シーンを見てみます。

右上のターミナルから出発した飛行機は、滑走路のド真ん中を通って西へ向かいます。

この空港には滑走路に並行する誘導路がありません。

 

機体はエアバスA320です。

普段空港で見るとB787やA380と並んでいてマメみたいに見えるA320。しかし、

踏切を渡ると思ったよりでかく見えます。余裕で8車線ありますね。

奥の自動車と比べてもデカいです。

 

滑走路を西へゆっくり移動します。

 

端っこでぐるっと回ります。

 

 

離陸体制に入ります。

 

踏切を通過。

 

飛び立っていきました。

 

飛行機が通過し終わると、再び踏切が開き、車や歩行者がぞろぞろ移動します。

…….

 

徒歩で渡るだけじゃあ満足できない人は、レンタカーで渡るのも面白いかもしれません。

スペインでレンタカーを借りれば左ハンドルミッションなので、最高に楽しめると思います。

主に恐怖を。

 

 

滑走路横断トンネル開通(?)

 

滑走路を横切る(実際には迂回)トンネルが建設中で、2018年11月に完成予定でした。

 

Works, which were paralyzed, should start on (2016)1 August and conclude in November 2018.

Agreement between OHL and Gibraltar to conclude the tunnel under Rock’s airport

 

この写真は2017年3月の様子です。右横からカーブして溝があります。これがトンネルです。

 

開通したら華々しくニュースが流れるはずです。

が、ググっても開通したというニュースがありません。完成予定の2018年11月はとっくに過ぎたというのに。

 

……

 

またトンネル開通後も歩行者の通行は継続すると思われます。(←英語版知恵袋の情報なので正確さは保証できないです)

 

直ぐに渡れなくなるということは無さそうですが、いずれにしてもこんなめんどくさい施設を英国軍としては早く消したいでしょうし、スペインに行く機会があるなら早めに渡っておいたほうが良いでしょう。

 

めっちゃおもしろいスポットです。

 

 

 

 

 

撮影日:2017.3.28

 

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