日本最古の水力発電所
どうもNSZ山本です。
日本最古の水力発電所ってどこでしょう。
一つの説は小山発電所です。
小山発電所
「大井川水系電力発祥の地
日英水電(株)小山発電所跡 ここは、明治43年(1910年)につくられた出力1400KWの発電所跡です。 当時日英水電(株)がここに上川根村の大きく湾曲した付け根部分(通称・牛ノ頸[ギャーノクビ]) に水路トンネルを掘り25mの落差を得て大井川水系に始めて発電所を建設しました。
この発生電力は遠く島田・相良・浜松方面へも送電されこの地域は大正2年頃から電灯の恩恵落差をに浴しました。
以降昭和11年(1936年)約10km下流に大井川発電所(出力68,200KW)がつくられるとともに 26年間の発電の重責を全うし廃止となりました。
なお、ダム水路発電所としては、中部5県下で最初の発電所でありました。
平成4年2月 中部電力株式会社」
この看板に思いっきり1910年日本最古と書かれています。
別の説
大井川最初の発電所は、小山発電所ではない!! 過去と未来の間/ウェブリブログ
こちらの方が2005年に言っていることによると、
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例えば、中部電力が編纂した『大井川ーその歴史と開発』(1961年)には、「大井川で最初に建設された水力発電所は、小規模ながら牛ノ頚で、これは小山発電所と呼ばれた。竣工を見たのは明治43年 (1910年)で、出力はわずかに1400キロワットにすぎなかった。」とある。 |
1961年に中部電力が発行した本によると、小山発電所が1910年、明治43年に作られたとのこと。
しかし新聞では1912年発行の新聞に竣工祝賀会の記事が載っていることや逓信省電気局編纂『電気事業要覧』には1912年からしか乗っていないことを証拠に、実際には日本で2番目の発電所だという結論になっています。
これはこれで信憑性はありそうです。
地名発電所
小山発電所が日本最古でないとすると地名発電所が日本最古という事になります。
これも静岡県の川根本町です。川根地区は初期の日本の水力発電のホットスポットになっていたようです。
地名発電所は東海紙料株式会社によって1910年運用開始、1961年に廃止、有効落差21mの発電所でした。
水力発電所ギャラリー 東海紙料地名発電所 – 水力ドットコム
上のwebの写真によると2003年には地名発電所のレンガ造りの重厚感ある発電所建屋が現存していたとのこと。
めちゃ渋いです。流石に既に解体されて更地になってしまったそうです。
…..
今回旧小山発電所跡地を訪問しました。
諸説あるようで、私は小山発電所が出来たのが1910年なのか1912年なのか、どっちが古いかと明言はしません。ここで日本最古だ!と言い切るのは宜しくないので。
なにはともかく、明治時代に出来た古くて由緒ある発電所のようです。
小山発電所スペック
小山発電所のスペックです。
- 1910運用開始
- 1936運用停止
- 水車2台
- 有効落差 約25m
- 認可最大出力1400kW
2019年現在最も発電能力が高い水力発電所、奥只見発電所は1960年の完成で完成当時360000kW
後の2003年の増設工事で出力が560,000kWまで最大出力が上がり日本一となっています。
小山は奥只見発電所(2003以降)と比較してわずか0.25%の発電能力。かわゆい。
奥只見は小山発電所の400倍の能力があります。技術革新の速度は速いですね。(kWhではなくあくまでkWの比較。安定供給の観点だともっと差があるかもしれない。)
有名な黒部第四は1963年完成で最大出力335,000kWです。
実際に行ったら最早遺跡だった。
小山発電所に行ってきました。
見れば見る程ペロポネソス半島に旅行しに来たかと錯覚する遺跡オーラを放っています。
水車2台とのことで、2つの円形が口を開けています。
上から見てみます。
上から見るとこんな感じ。
2007年に行った人の写真があります。その時とあまり変わってないようです。
この丸い4つの物体は何に使われていたのか。
発電所を囲む石垣
1936年の運用停止から既に83年が経過しています。
彼は眠り続けます。
この発電所跡を言葉に表すなら
全体的にエモいです。
地形
小山発電所が出来たのは1910年または1912年頃。
発電所の歴史初期で技術が高くなかった時に作られました。
なぜここに作られたのかは、地形的な利点さを見れば分かります。
同じ川が水平距離50m隔てて隣接しています。
整理番号 CB624YZ コース番号 C2 写真番号 712 撮影年月日 1962/10/16(昭37) 撮影地域 静岡・伊豆 より
東の大井川が西の大井川へ至る為に約4.2 kmも遠回りしています。
浸食で三日月湖にならないのかよと地球にツッコみを入れたくなります。八木地区の山から北西にある小山地区までの尾根の岩盤が強固ということでしょうか。
見れば見る程ヤバイ地形だ。
この間に大井川が約25m標高が下がり、そこを利用していたようです。
吊り橋から見てみた
吊り橋からだと周囲を確認しやすいので地形を確かめてみました。
小山橋という名前。
この川が写真右方向、つまり上流方向へとぐねぐね曲がって行きます。
ここから見える県道66号線の50m裏側に大井川があります。
水力発電はこの落差を利用していました。
看板に『運用初期の放水路、 度重なる洪水で現在の位置へ移動しました』と書かれていました。
それらしき物の姿も見えます。
行き方
車で行くならば、道は細いものの近くまで走っていけます。
大井川らへんや接阻峡の観光ついでに寄ってみるのに最適です。
鉄道なら大井川鉄道川根小山駅から350m。徒歩5分です。
おわりに
小山発電所がある、この小山の集落には伝統的な茶畑が広がっています。
品川のせいで死んでしまった私の中の何かが生き返る(あくまで個人の感想です)くらいにはとても綺麗。
この光景も価値あるものです。
古来からの集落の端っこにひっそり眠る遺構物。
こんなもののあはれを体現する遺構物が日本に存在していたとは。僕は泣きます。
見ごたえは十分あると思います。
ある一定層の人には突き刺さるスポットだと思います!
また、産業の歴史的な観点に立っても重要な構造物なのではないかと思います。
それでは
了
取材日:2019/05/03
2016
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