カイロ メトロ 完全解説 2023 エジプト地下鉄 路線図 車両

 

訪問: 2023年1月

 

カイロのメトロを全線乗車したので、解説する。撮影地ガイドも書いておいた。

カイロメトロは、運賃が25~50円で安く、運行間隔は4~5分と利便性が高い。Uberも既に安いのだが、もっと滞在費用を安くしたいならおすすめの交通手段だ。

 

カイロメトロ概要

 

  • 1号線 青色 Helwan –New El Marg 44.3km 35駅
  • 2号線 赤色 Shobra El Kheima – El Mounib 21.6km 20駅
  • 3号線 緑色 Kit Kat – Adly Mansour 19,5km 23駅

合計 84.5km

2023年1月現在

Cairo Metro – Wikipedia

各路線ごとに車両が異なり、1号線は青か銀の車両、2号線はオレンジ系、3号線は緑のヒュンダイだ。

 

路線図

 

 

駅に掲載されている運賃表付きの路線図

駅に掲載されている地図は正確だ。

Cairo Metro | Maps →公式ホームページでは未開業の3号線の路線が堂々と書かれている。公式のくせにいい加減である。

 

撮影について

 

初めに重要で嫌な点は、駅での撮影は確実に制止される。また、沿線でも場所によってはチクりや、非番の熱心な警官とこんにちは有り。

 

1号線

 

歴史

  • 1987年 : Helwan to Ramsis square の区間が開業  (南側の区間)
  • 1989年 : Ramsis square to  El marg の区間が開業 (北側の区間)

 

Cairo Metro Line 1 – Wikipedia

全体で44.3kmとメトロにしては長い。全線乗りとおすと1時間19分かかる。

 

車両

 

TOSHIBA 東芝 らしい。

この落ち着いたデザインは割と好きだ。

 

どの個体かわからないが、車内にこんなプレートがあった。TOSHIBA ではあるが MADE BY SEMAF という現地企業のものらしい。

Metro & Train wash units – Semaf→これがSEMAFのホームページか?

 

アルストム製もある。

 

ジャパニーズ吊革

 

銀塗装。

後に紹介するが、この撮影地は1号線ほぼ唯一の奇麗に編成が収まる撮影地だ。

 

広告ラッピング車両。

 

ヒュンダイ。新しめの車両は韓国製。

 

 

2号線

 

歴史

1996年開業、最後の延伸は2005年である。全体で21.6 km

  • 1996 年 10 月 Shubra Al-Khaima – Hosni Mubarak “Al-Shuhada” 開業。8 km
  • 1998 年 9 月 : Hosni Mubarak “Al-Shuhada” – Anwar Sadat) 開業。3 km
  • 1999 年 4 月 19 日: Anwar Sadat – Cairo University 開業。5.5 km
  • 2000 年 10 月 8 日: Cairo University – Umm al-Masryeen 開業。2.7 km 
  • 2005 年 1 月 17 日: Umm Al-Masryeen – Al-Munib 開業。 2.5 km 
  • 2011年、アラブの春によりムバラクが倒されたため、Hosni Mubarak が、Al-Shuhada駅と改名される

 

الخط الثاني (مترو القاهرة) – ويكيبيديا

改名されたAl-Shuhada は殉教者という意味とのこと。

Cairo Metro Line 2 – Wikipedia

 

車両

 

近畿車両。

台形っぽく上にすぼまっており、「海外メトロ」という感じだ。

集電装置は地上にある。

 

KINKI SHARYO 2012 OSAKA JAPAN

TOSHIBA

どっちなんだろう。

 

椅子はプラスチック製でおおきさは4人掛け。しかし地元民は凄い詰めて5人座る場合もある。

 

ヒュンダイ

 

ヒュンダイ

近畿車輛の増備車(指摘ありがとうございます)

 

3号線

 

2012年開業、最後の延伸は2022年である。

ウィキペディアに書いてあるまま掲載したが、3号線は最も新しいのに一番わかりづらい.. フェーズ3とフェーズ4は開業日が逆転しているようだ。

الخط الثالث (مترو القاهرة) – ويكيبيديا

UrbanRail.Net > Africa > Egypt > CAIRO Metro

開業

  • 2012.02.21:フェーズ1 Attaba ~ Abbasia 開業
  • 2014.05.07: フェーズ2 Abbasia ~ Al-Ahram 開業
  • 2019.06.15: フェーズ4-1 Al-Ahram ~  El Shams Club開業 (Wikiではフェーズ4-1はEl-Nozhaまでらしいがその開業日にはまだ開業していなかったらしい?)
  • 2020.06.08 : フェーズ4-2  El Shams Club ~ Adly Mansor 開業
  • 2022.10.05: フェーズ3-1 Attaba ~ Kit-Kat

建設中

  • フェーズ3-2 Kit-Kat ~ Rod El Farag Corridor
  • フェーズ3-3 Kit-Kat ~ Cairo University

建設凍結

  • フェーズ4-3 カイロ空港行き

 

車両

 

ヒュンダイ ロテム HYUNDAI ROSTEM

 

最近はジャパンよりもコリアの方が影響が大きいらしい。1、2号線とも新型車はヒュンダイ、3号線は全てヒュンダイである。

写真は左から3, 2, 1号線。

 

運賃

 

1乗車 距離により 5EL, 7EL, 10ELに分かれる (各25円、35円、50円)

子供は改札を勝手にくぐることが許されており、無料である。お子様連れの方はお得である。

 

乗り方

 

改札は入るとき、出るときの2回、切符あるいはカードを通す必要がある(運賃が一律でないため)。

クレジットカード タッチ決済は非対応。

 

切符は2種類あり、使い切りタイプの券をその都度購入するか、Metro Card (SUICAのようなもの)を購入するかだ。

地元民の若い人はSUICAを使っている。しかし少数派であり、カードは思ったより普及していない印象を受けた。

使い切りタイプは、色が値段ごとに黄色(5LE)、緑(7LE)、赤(10LE)とわかれている。

 

Metro Card (SUICA)

 

筆者はこれをお勧めしたい。

購入時の値段は50LEで購入し、25LEがカード代、25LEがチャージとなっている。

 

改札に入る際、5LEが引き落とされる。そして出る駅の改札でもし7LE以上だったら残りが引き落とされる。

切符の場合は最初に目的駅の運賃を確認する必要があるが、SUICAなら目的地を考える必要が無い。

 

Metro Card の問題点

 

1.売ってくれない時がある

あまり職員が売る気が無く、こちらが結構主張しないと売ってくれない人が居る。奥の戸棚から出してきて、本当に普及させる気があるか微妙だ。

 

2.チャージ機が3号線のみにある

1、2号線にはチャージ機が無い。ふざけているのだろうか。

 

3.有人窓口だとチャージ拒否がある

チャージ機が無い駅では有人窓口でチャージすることとなる。

窓口では金を受け取って紙製の切符を機械的に客に投げつける流れ作業をしている人が居る。そうした人は、チャージを頑なに拒否する。言葉が通じないせいだろうと思いたい所だが、単にやりたくないだけだと思う。

 

以上の問題点はあっても、Metro Card(SUICA)の方が一々買うより楽だと思う。

 

駅内の撮影について

 

駅内の撮影は禁止である。禁止の貼り紙は無いが、バレると100%言われる。

単に禁止といい終わる人も居れば、駅事務室まで連行、削除まで行く人も居る。(駅巡りの項目で後述)

僕がヲタクだからだけでなく、スマホで撮っただけのハンガリー人女子も言われたらしいので、カメラ・スマホ含め完全に禁止だ。

 

綺麗に撮るために客が少ない駅のホームで待つと目立つ。アジア人が列車に乗らず駅で待っていると、警備員がガン見してくるので、駅で奇麗に撮影しようと試みるのはお勧めできない。

警備員から遠い側で撮って、その後カメラをバックに隠して改札まで歩くと、監視カメラで見ていた奴が改札で僕を連行したりする。世界的に見ても最悪にしつこい。くだらない仕事してないでもっとマトモな職見つけなよエジプト人。

 

駅で撮る場合、乗降客数が多く、監視員にバレにくいAttabaなど中心駅でこっそり撮ることだ。客が沢山いるので編成をキレイに撮るのは難しいが。

 

撮影地ガイド

 

繰り返すが、駅撮りは警備員が必ず止めてくるので難しい。

そのため沿線撮りとなるが、沿線でも殆どが高い壁や柵に覆われている。筆者はわずかに見つけた個所で撮影した。

 

1号線 Wadi Hof 駅の南

 

タイトルにも使用したこの跨線橋は、1号線での撮影地。公道上から、筆者が回った限り唯一車両全体を収められる。

繰り返すが、カイロメトロは高い柵や壁が多く、撮影できる場所は殆どない。

しかし、ここでは長居すると正義の味方が現れ、警察にチクられる。また非番の警察か警備員らしき人物が車を止めて「禁止だ!ビッグプロブレムだ!」と言ってくるので、ササっと撮って逃げよう。

Tips: エジプトもチクり有り。

 

場所はWadi Hof駅から徒歩5分ほどの国道上

 

1号線 El- Zahraa 駅から徒歩8分

 

俯瞰撮影地。El Zahraa 駅から南へ歩く。道路上から撮れる。

ここはチクる人は現れないが、地元民に絡まれることはある。たまに乞食もくるが、僕が行ったときは危険人物には会わなかった安全な撮影地。

側面カットを狙えるほか、もっと正面顔も撮れるが、立ち位置がかなり高い。

 

場所 – Google Map

 

カイロメトロはなぜか左側通行で混乱する。

エジプトでは国有鉄道も左側通行。アレキサンドリアのトラムは市内線のみ右側通行だった。

 

2号線 Sakiat-Mekki駅の南

 

広告ラッピング車両。

 

2号線は元々、地上区間が少なく、地上区間も殆どが高い壁や柵のために撮れる場所が少ない。

筆者が行った限り唯一ここなら公道から見える場所に顔を出す。

冬場はビルの陰がすぐ迫ってくる。冬場は、昼12時ごろがビルの陰も来ないのでベスト。夏場なら太陽が高いのでビルの陰を気にしないで済むと思う。

 

場所 محور الفريق كمال عامر

 

3号線 Qubaa駅の東

 

ここは幹線道路のオーバーパスから撮影する。最寄駅から徒歩15分。光線は午前早朝が順光。

筆者は寝坊して、車両の顔がつぶれた。

 

ここは地元民すらめったに歩いてこない高規格道路のため、安心して撮れる。一方で高規格道路のため自動車が速い速度で走る点は安心できない。

たまにランニングするオッサンが来たので、ここに立つこと自体は違法ではないと思われる。

 

場所 Google Map

 

駅、名所巡り

 

せっかくなので全線乗車してみた。主要駅は降りたので、解説していく。

路線ごとに周辺の見どころも併せて訪問した。

 

Al-Shohadaa 駅 (国鉄中央駅接続)

1号線と2号線が交差する駅。

Al-Shohadaa は2011年にホメニ ムバラク駅から改称された。独裁政権の間はムバラク駅だったという事実、最も中心となる駅に自分の名前を付けるところが独裁者&スーパーナルシストである。

現在のAl-Shohadaaは殉職者という意味だそう。

 

国鉄中央駅はラムセス駅という名前だ。

 

鉄道博物館 (訪問価値低し)

 

ラムセス駅には鉄道博物館が併設されている。

外国人料金は100LEだった。

 

 

展示内容は、殆ど模型陳列館であり訪れる価値は無いといっていい。本来こうした首都の鉄道の博物館には、この国の鉄道の開業からの歴史の解説パネルがあってしかるべきだが、一切ない

ここに来てもエジプトの鉄道が開通したのは何年なのかすら分からない。

 

代わりに「この模型は1920年代に走ったイギリス製の機関車」「この模型はドイツ製」と、単にこの国が鉄道車両を作る能力が無かったことだけが分かる

英語は併記されているのがせめてもの救いだ。

 

一応、2台だけ豪華絢爛な鉄道初期と思われるSLが2台ある。

 

※ただし、ここでエジプト国鉄の分厚い冊子を低価格で手に入れたというツイッター情報も目にしたので、エジプト書物収集鉄は行って頂きたい。

 

New El Marg (1号線終点)

 

1号線北の終点、New El Marg駅。

ここは汚いバザールと国鉄線(治安悪し)がある。

当駅では、警備員が居ないホームの端っこで撮影したところ、監視カメラでバレてわざわざ連行された。

しつこすぎる。

 

汚いバザール

 

駅前は雑多なバザールである。

未舗装、青空バザールは、ゴミは落ちまくっており、本物のエジプト人の暮らしを見ることが出来る。カイロ中心では絶対見れないのでおすすめだ。

青空なのはエジプトでは雨降らないから良いのだろう。

カイロ中心で買うよりも安いと思う。(サンダルは半額だった)

 

駅から北へ徒歩5分ほど歩くと、高層団地があるが、その前の道が本当にゴミの山になっている。

また当駅から北へ国鉄線が伸びており、運賃3LE (15円)で1時間ほどの列車の旅を楽しめる。

エジプト鉄道 近郊列車撮影 2023 カイロ・ナガーハマディ

 

HEIWAN 駅 (1号線終点)

 

1号線、南の終点HEIWAN駅も北の終点と同様バザールのような状態になっている。

こちらのバザールは舗装された道路に勝手に店が開いているような感じ。こちらの方がNEW EL MARGより文明度がある。

 

日本庭園

 

HEIWAN駅近くの名所はジャポン ガーデン。日本庭園だ。

海外あるあるだが、完全に日本を勘違いし、どう見てもインドかタイに見えるが、それでもなお日本庭園である。

入場料は10LE (50円)なのだが、僕は外人だからか2枚チケットを買わされた。それでも100円。

 

有料公園だからといって安寧があるわけではない。元々入場料が安いのと、子供はタダで入れる?のか、カメラを持っていると大量のガキに囲まれ、非常に大変なことになる。

せめて有料公園ならキチガイみたいなガキは消えて欲しかった。

 

警備員は顔は険しめだったが心は優しく、ガキを追い払って僕をカフェへ連れて行ってくれたが、カフェから出たらまたガキが付きまとってきて困った。

 

Shuba El-Kheima 2号線終点

 

2号線終点。ここも周りにバザールと、マルシュ乗り場がある。

 

国鉄駅

 

当駅からは、エジプト国鉄線の、長距離列車や普通列車に乗ることが出来る。当駅からは本来外国人が乗れない「ロシアン」という非冷房客車などにも乗れる。アレキサンドリアやポートサイドまで安く行きたい人はここからこっそり乗ればいいと思う。

駅に居た人は時刻表を教えてくれたし、外国人が乗れない列車に乗っても逮捕までは行かないと思う。(賄賂はあるかもだが)

 

ドイツ ヘンシェル製の渋いディーゼル機関車を駅撮りできる。

当駅は警備が緩く、駅撮りや線路内乱入も可能だ。(やめなさい)

 

El  Monib 2号線の終点

 

2号線の南の終点 El – Monibだ。ここは見どころ無し。

ここはマルシュ乗り場があるが、筆者が行った限り他に見どころは無い。

なおマルシュ運転手に写真を撮れと無限に絡まれる。この国は何をしていても疲れる。あのパワーに俺は付いていけない。

 

 

ギザ駅 (ピラミッド最寄り駅)

 

2号線には言わずと知れた大名所、ピラミッドへの最寄り駅がある。

ピラミッドは、「ギザのピラミッド」と呼ばれ、カイロの西にあるギザ地区にあるのだ。

 

ここからピラミッド付近までマルシュで7LEほどで行ける(35円) 。僕の時はおつりをくれなかったので10LEだが、それでも安い。

Uberでも既に安いのだが、さらに底値を極めたい人はマルシュを使って行こう。

 

 

ピラミッド

 

ピラミッドの公園自体は、1500円くらい入場料がするぼったくりだ。国際学生証があれば半額になる。

あんなくだらない見世物をみても仕方ないと思う一方、そんな金額を払ってしまう僕が悔しい。この逆張りオタクの僕ですら行ってしまうのだ!

人を見ればわかるが、ピラミッドはデカい。

 

出来損ないのピラミッド

 

クフ王のピラミッドの横には、予算不足か、人員不足か、設計ミスで完成に至らなかった出来損ないのピラミッドがある。

奴隷派遣業者が人員を集められなかったり、客先(王)が弱小で金を出し渋ったり、4次受け、5次受けの奴隷がデスマーチをしたと思うと涙が出る。

 

出来損ないである僕が出来損ないのピラミッドを見るとシンパシーを感じることが出来る。

 

友人に言ったところ、「4000年間現在まで残ってるからマシじゃね。COCOAは無残に消え去った」などと言っていた。

 

3号線終点 Adly Mansor

 

最後にアドリーマンソールという3号線の終点駅だ。こちらは駅自体魅力は全くないが、当駅からさらにニューカイロという新首都までの鉄道が、2022年7月3日に開業した。

ニューカイロは国家元首が保身のために作った都市であり、エジプト国家元首のキチガイぶりが分かるので、気になる人はぜひ読んで欲しい。

 

ニューカイロ 都市鉄道 巡検2023 エジプト私利私欲の異常都市

 

 

おわりに

 

カイロメトロは運行間隔も4、5分程度で頻繁であり、単に利用するだけなら利便性は高い。値段が最大でも50円というのも良い。

しかし撮影となると、禁止、連行等かなりストレスがたまる。公道上でチクる奴がいるのは呆れた。

 

エジプトで日本ブランドやヒュンダイの車両に興味がある人はぜひ訪れて欲しい。

 

 

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